
街中の調剤薬局で働く、薬剤師の優しいお姉さんに憧れたことはありますか?
そんな薬剤師ですが、なろうと思うとかなりの時間がかかります。
薬剤師になりたい気持ちがあるのなら、大学選びの段階で決めておかないと、社会人になるのが先伸ばしになってしまいます。
薬剤師の受験資格を得るための最低条件はどんなものなのか、見ていきましょう。
薬剤師の受験資格を得るには

薬剤師は国家資格のひとつです。
国家資格ですので、国が定める国家試験に合格しなくてはなりません。
その国家試験ですが、誰しもがすぐ受験できる訳ではありません。
受験するには定められている受験資格をクリアしている必要があります。
受験資格は薬剤師法、学校教育法に明記されています。
薬剤師法
第三章 試験
(受験資格)
第十五条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学において、薬学の正規の課程(同法第八十七条第二項に規定するものに限る。)を修めて卒業した者
二 外国の薬学校を卒業し、又は外国の薬剤師免許を受けた者で、厚生労働大臣が前号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有すると認定したもの
引用元:薬剤師法 | e-Gov法令検索
学校教育法
第九章 大学
第八十七条 大学の修業年限は、四年とする。ただし、特別の専門事項を教授研究する学部及び前条の夜間において授業を行う学部については、その修業年限は、四年を超えるものとすることができる。
② 医学を履修する課程、歯学を履修する課程、薬学を履修する課程のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの又は獣医学を履修する課程については、前項本文の規定にかかわらず、その修業年限は、六年とする。
つまり薬剤師国家試験の受験は、外国の薬学校の卒業という例外はありますが、基本的には6年間大学に通い、決められた薬学課程を修めないと認められません。
薬剤師の受験資格を得るために行くべき大学は?

国家試験の受験資格にあたる「薬学の正規の課程」を学べるのはどんな大学でしょうか。
結論からお伝えしますが、その大学は「薬学部の薬学科」にあたります。
似た名前で「薬科学科」という4年制の学科もありますが、そこでは薬剤師受験資格を得られませんので注意してください。
基本的には、薬学科を卒業していない限り、薬剤師の受験資格を得ることができません。
薬剤師になるための薬学科はどんなところ?
薬学科は2022年現在、全国に77校あります。
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引用元:薬学教育関連:文部科学省
それぞれの大学を細かく見ていくと、「他の医療系学生と交流する」や「漢方に力をいれている」など、特徴的なカリキュラムもあります。
ですが薬剤師の養成を目的としている薬学科は、どこの大学でも、国で定められている「薬学教育モデル・コアカリキュラム」の内容は最低限網羅できるよう、時間割りが組まれています。
カリキュラムとして決められているのは、以下のような内容です。
- 薬学基礎(物理、化学、生物)
- 医療薬学(薬が体内でどんな過程を経て効果が発揮されるかなど)
- 衛生薬学(病気の予防や栄養、環境汚染物質についてなど)
- 薬学臨床(代表的な疾患に対する薬物治療の概要など)
- 大学5年生で行われる病院実習、薬局実習
上に挙げたのは、カリキュラムの概要に過ぎません。
内容は詳細に決められており、各大学に周知されています。
このカリキュラムを通して、どの大学を卒業していても薬剤師としてしっかり働けるような人材育成がなされるのです。
薬学科に入る以外に薬剤師になれる道はあるのか

薬剤師の受験資格を得るために卒業しなくてはならない「薬学科」は、1年生からみっちり薬学教育が行われます。
現時点で「私は絶対薬剤師になるんだ!」と覚悟ができていればいいでしょう。
しかし、看護師や管理栄養士など別の職種とも迷っているとなると、薬学科に入学するのは躊躇(ちゅうちょ)しますよね。
薬学科入学以外の道に進んだあと、薬剤師になれる方法はあるのか、見ていきましょう。
4年制卒業後、大学院に2年通えば認められる?
薬学部には「薬学科」と別で、4年制の「薬科学科」が存在します。
それぞれの違いは以下の記事でもまとめていますので、参考にしてください。
薬剤師になるには大学に何年通うの?6年制と4年制の違い知ってますか?
実を言うと以前は、4年制の薬科学科卒業後でも2年以上大学院に所属していれば薬剤師の受験資格を得ることができました。
平成18年4月1日以降に4年制の薬科学科(新4年制薬学課程)に入学した者で、以下の条件にすべて該当する場合は、申請により受験資格の認定を受けられます。
(1)平成18年4月1日~平成30年3月31日の間に大学に入学していること。
(3)薬学の修士課程又は博士課程を修了していること。かつ、2年以上在学していること。
(4)6年制薬学課程の卒業に必要な単位を修得すること。
※実務実習を履修する大学の6年制薬学課程卒業に必要な単位を修得すること。
※大学に入学してから12年以内に、全ての単位を修得すること。
上記は厚生労働省から出ている情報になります。
平成29年度の入学者までに適応される制度ですので、これから入学となる場合は認められません。
つまり、これから大学に入学する場合は、例外なく6年制の「薬学科」を卒業していなければ、国家試験の受験資格を得ることはできないのです。
他の医療従事者免許を持っていれば「薬学科卒業」は免除される?

他の医療従事者免許を持っているだけでは、薬剤師国家試験の受験資格を得ることはできません。
「薬学科の卒業」ができていない限り認められないのです。
医療従事者というと、薬剤師以外にも医師や看護師、理学療法士、管理栄養士など様々ですが、行える医療行為は違いますし、必要な専門知識も異なります。
薬学科では、薬に焦点をあて、薬物治療以外にも、薬の開発、薬の特性など特徴的なカリキュラムが組まれています。
薬学科で学んだからこそ、薬剤師になる権利を与えられるのです。
薬学科への編入はできる?

大学で別の学科に入学後、「やっぱり薬剤師になりたい!」と思い立った時は、どうしたら良いのでしょうか。
実は薬学科には途中学年から入学できる、「編入制度」があります。
もし別学科から編入できれば、一度別の道に進んでいても最短ルートで薬剤師資格を得られます。
ただし、編入制度は以下のような懸念点があります。
- 募集人数がかなり限られている
- 応募条件が厳しい
- そもそも編入制度のない大学が多い
- 現段階で編入制度があっても次の年にはなくなっている可能性がある
編入制度を利用して薬学科へ確実に入れるとは言いがたいです。
今、高校生で大学選びをする段階であれば、編入制度は視野に入れずに進路を考えたほうが無難でしょう。
まとめ

以上、薬剤師の受験資格についてまとめました。
薬剤師になるために必要な国家試験を受けるためには、「薬学科の卒業」が第一条件になります。
高校生の段階で自分は何になりたいのか、しっかり考えた上で大学を選びましょう!
薬剤師になるための大学選びについては、以下にもまとめていますので参考にしてくださいね。
薬剤師になるにはどの大学?現役薬剤師が大学選びのポイントを解説!