薬剤師の仕事内容

薬剤師が注射を打てない理由は?注射に関連する仕事内容を解説

「なぜ、薬剤師は医師や看護師のように注射が打てないのだろう」と疑問に思いませんか?

薬剤師が注射を打てないのは、とある理由があるからです。

それと同時に、注射に関連する他の仕事を薬剤師が担当しているのをご存じでしょうか?

今回は薬剤師が注射を打てない理由と注射に関連する仕事内容について解説していきます。

表舞台には現れない薬剤師の影の努力が見えてくるかもしれませんよ。

薬剤師が注射を打てない理由は?

薬剤師が注射を打てない理由は法律に明記されているからです。

根拠となる法律を以下に示します。

第十七条

医師でなければ、医業をなしてはならない。

出典元:e-Gov|医師法

第十七条

歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。

出典元:e-Gov|歯科医師法

この法律に明記されている「医業」「歯科医業」の中に注射を打つ行為が含まれています。

また、日本において注射を打てる医療従事者は次の通りです。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 医師・歯科医師の指示を受けた看護師、准看護師
  • 救急救命士(救急車内のみ)

看護師や准看護師、救急救命士についても法律で明記されています。

第三十七条

保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣かん腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。

出典元:e-Gov|保健師助産師看護師法 (特定行為等の制限)

第四十四条

救急救命士は、医師の具体的な指示を受けなければ、厚生労働省令で定める救急救命処置を行ってはならない。

2 救急救命士は、救急用自動車その他の重度傷病者を搬送するためのものであって厚生労働省令で定めるもの(以下この項及び第五十三条第二号において「救急用自動車等」という。)以外の場所においてその業務を行ってはならない。ただし、病院若しくは診療所への搬送のため重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間又は重度傷病者が病院若しくは診療所に到着し当該病院若しくは診療所に入院するまでの間において救急救命処置を行うことが必要と認められる場合は、この限りでない。

3 病院又は診療所に勤務する救急救命士は、重度傷病者が当該病院又は診療所に到着し当該病院又は診療所に入院するまでの間において救急救命処置を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、当該病院又は診療所の管理者が実施する医師その他の医療従事者との緊密な連携の促進に関する事項その他の重度傷病者が当該病院又は診療所に到着し当該病院又は診療所に入院するまでの間において救急救命士が救急救命処置を行うために必要な事項として厚生労働省令で定める事項に関する研修を受けなければならない。

出典元:e-Gov|救急救命士法

これらの法的根拠のもと、医療従事者が行える行為に制限がかけられているのです。

薬剤師が担う注射に関連する仕事内容は?

薬剤師が注射を打てない理由は法律にあるのが分かったと思います。

注射は打てませんが、注射に関連する次の4つの仕事を薬剤師が行っています。

  • 注射薬の発注・在庫管理
  • 注射薬の保管管理
  • 注射薬の調剤鑑査・払い出し
  • 注射薬の混合調製

順番に解説していきます。

注射薬の発注・在庫管理

まずは、注射薬の発注・在庫管理です。

薬局や病院では定期的にインスリン注射や栄養剤、抗生物質の点滴など様々な注射薬が使われます。

これらすべての注射薬を発注・在庫管理しているのが薬剤師です。

薬を切らして患者さんが困ってしまわないよう細心の注意を払っています。

注射薬の保管管理

続いて、注射薬の保管管理も薬剤師が担当する仕事になります。

在庫している注射薬は次のような環境の影響を受けやすいのです。

  • 温度
  • 湿度
  • 光 など

品質が落ちないよう部屋の温度や湿度を毎日チェックしたり、遮光保存したりしています。

また、食べ物のように薬にも使用期限があります。

期限切れの注射薬が使われないよう、定期的な期限確認も行っているのです。

注射薬の調剤鑑査・払い出し

医師が処方した注射薬に誤りが無いか確認するのも薬剤師の仕事です。

注射薬の投与量のほか、点滴の速度などを確認しています。

点滴の速度が速すぎると十分な効果が得られない注射薬もあるので注意が必要なのです。

また、注射薬同士の混ぜ合わせなども確認しています。

注射薬の中には混ざり合うと結晶化したり効力が弱まったりするものが存在します。

そうした配合変化が起きないようにチェックするのも薬剤師の責任です。

注射薬の混合調製

栄養の点滴や抗がん剤といった注射薬の混合調製も薬剤師が行います。

栄養の点滴は、入院患者さんに限らず在宅治療を受けている患者さんも必要としています。

栄養の点滴は雑菌が繁殖しやすいので清潔な操作が必要不可欠です。

また、抗がん剤は栄養の点滴以上に取り扱いに注意が必要なのはイメージしやすいでしょう。

針刺し事故や異物混入など起こらないよう気をつけながら仕事をしています。

注射に関連する仕事の大変なところ

表立った仕事ではありませんが、薬剤師も注射に関連した仕事をしています。

続いて、薬剤師が担う注射関連の仕事で大変なところを解説していきます。

薬剤師は想像以上に神経をすり減らして仕事をしているのが分かるかもしれませんよ。

在庫管理の大変なところ

在庫管理で大変なところは「適正在庫の見極め」です。

薬局や病院の規模にもよりますが、大きなところでは100種類以上の注射薬を取り扱います。

それら全ての注射薬が過不足のないよう発注するのを想像してみてください。

在庫数がゼロでは患者さんの治療が行えませんよね。

かと言って、大量発注して残ってしった注射薬は不良在庫になってしまいます。

注射薬の中には、1瓶で30万円以上する注射薬もあります。

例えば、これが10瓶廃棄になると300万円以上のマイナスになってしまいますよね。

こうした損失にならないよう適正在庫数に神経をすり減らしているのが薬剤師なのです。

保管管理の大変なところ

注射薬の保管管理で大変なところは「保管環境の管理と期限チェック」です。

薬は温度や湿度、光などによって品質が変わってしまうデリケートな側面があります。

適切な温度や湿度管理をしているからこそ、注射薬の効果が担保されています。

また、病棟や施設などにストックしている注射薬の期限チェックも薬剤師の担当です。

万が一、期限切れの注射薬が使われてしまうと「医療事故」へ発展してしまう可能性もあります。

こうした医療トラブルが発生しないよう細心の注意を払っています。

薬剤師が管理を徹底しているからこそ医師や看護師などが安心して注射を使えるのです。

調剤・払い出しの大変なところ

調剤鑑査・払い出しの大変なところは「確認項目の多さ」です。

具体的には次のような内容を確認しています。

  • 患者さんの年齢と性別
  • 体重
  • 検査値
  • 食事摂取の状況
  • 注射薬の投与量や点滴速度、投与期間
  • 注射薬や他の薬の相性(併用禁忌)
  • 注射薬の混ぜ合わせ(配合禁忌)
  • 投与後の副作用症状の確認

これらの確認項目のなかで少しでも「あれ?」と思ったところは医師へ確認しています。

なかなか気づかれないとは思いますが、患者さんに間違った注射薬を使わないように日々確認しているのです。

混合調製で大変なところ

混合調製は「清潔かつ素早く行う」よう努力しています。

栄養の点滴は雑菌が繁殖しやすい環境にもなってしまいます。

そのため、感染症の原因になりやすいので雑菌が入り込まないよう清潔に操作する必要があるのです。

また、抗がん剤は栄養の点滴以上に取り扱いに注意を払っています。

抗がん剤治療は免疫力が落ちやすいので些細な雑菌でも風邪をひいてしまいます。

さらに、外来通院の場合は待ち時間が長いと一般の人以上に疲労が溜まってしまいますよね。

できるだけ患者さんの負担を減らすよう清潔操作を徹底しながら正確かつ素早く混ぜるよう努力しているのです。

まとめ

薬剤師が注射を打てない理由は法律で定められています。

注射は打てませんが、関連する4つの仕事を薬剤師は担当しています。

これらの仕事は薬剤師の職能を発揮しなければならない重要な役割です。

患者さんが安心して治療が受けられるよう医師や看護師などの医療スタッフをサポートしています。

陰ながら医療を支えている薬剤師をみかけたら「ありがとう」と声をかけてあげてください。

そうした声が、私たち薬剤師のエネルギーに変わります!

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