薬剤師の仕事内容

薬剤師で公務員?公務員薬剤師の仕事内容や就職方法などを徹底解説

5年生の実務実習を終えたあなたは就職活動で悩んでいませんか?

近年のリフィル処方箋導入やAI技術の進歩によって薬剤師業界の先行きが不透明で不安を感じますよね。

調剤薬局や病院へ就職するのが一般的ですが公務員として勤める方法もあります。

国家資格を持ちつつ公務員として働ければ安心感が違うでしょう。

そこで今回は公務員薬剤師の仕事内容や給与、就職方法などを解説していきます。

公務員薬剤師の仕事は?

人気のある公務員薬剤師ですがどんな仕事をしているのでしょうか。

公務員薬剤師は主に「薬系技官」「麻薬取締官」「地方公務員」の3つに分けられます。

順番に解説していきます。

薬系技官

国家公務員として勤める場合、主に厚生労働省の薬系技官として働くことになるでしょう。

薬系技官とは次の5つの分野の制度づくりなどの行政活動に携わる行政官のことです。

  • 薬事分野
  • 保健医療分野
  • 食品安全分野
  • 化学物質分野
  • 研究開発分野

参考:薬系技官とは

薬学の知識に加え、さまざまな問題を解決する論理的思考や行政スキルが求められます。

また、国内だけではなく国際的な活動も行いますので英語力も必要です。

麻薬取締官

麻薬取締官も厚生労働省に所属する国家公務員です。

一般的な国家公務員と異なり、麻薬取締官には特別司法警察職員としての権限があります。

そのため、規制薬物にかかる捜査・情報収集や麻薬の流通防止、医療機関への立ち入り検査が主な業務になります。

参考:厚生労働省 地方厚生局 麻薬取締部_使命と役割

世間のイメージする薬剤師とは異なる仕事がメインになりますね。

地方公務員

地方公務員として働く場合、配属先によって業務内容が異なります。

代表的な配属先は「保健所」「公立病院」「役所」などです。

業務内容についてそれぞれ紹介します。

保健所

市町村にある保健所にも薬剤師は配属されます。

主な業務内容は担当地域の新規開設許可や立ち入り検査などです。

調剤薬局や病院、美容院や飲食店など様々な施設を指導する立場として活躍します。

公立病院

地方自治体が運営する病院の薬剤師として勤務します。

調剤業務や病棟薬剤管理指導業務などが主な業務です。

実務実習で経験したことがメインの業務内容となりますのでイメージしやすいでしょう。

なお、国立病院は独立行政法人が運営しています。

国立病院の薬剤師は国家公務員ではありませんのでご注意ください。

役所

薬務課などに所属し薬事衛星や医薬品の安全に携わる業務を担当します。

実務実習で経験した調剤業務や服薬指導以外に行政分野の活動がメインです。

一般的に一定年数経験すると人事異動がありますので様々な業務を経験することができるでしょう。

公務員薬剤師の年収は?

ここまで公務員薬剤師の仕事内容について解説しました。

民間企業で働く薬剤師とは異なり行政分野で活動するのが大きな違いです。

では収入面に違いはあるのでしょうか。

ここからは公務員薬剤師の年収について解説します。

公務員薬剤師の初任給は?

公務員は俸給表によって給与が決まります。

薬系技官、麻薬取締官、地方公務員の初任給を以下の表にまとめました。

麻薬取締官は薬剤師の資格に関係なく行政職として扱われるため他と比べて低くなります。

参考:人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準)(昭和四十四年人事院規則九―八)

民間薬剤師の初任給についてはこちらの記事を参考にしてください。

薬剤師の初任給だけ見るのは危険!?募集要項で見るべきポイントは?

勤務先によりますがドラッグストアや調剤薬局では30万円程度の初任給になります。

民間企業と比べると公務員薬剤師の初任給は低いと言えるでしょう。

公務員薬剤師の平均年収は?

次は平均年収で確認してみましょう。

薬系技官、麻薬取締官、地方公務員それぞれ以下の表にまとめました。

公務員のボーナスは基本給の4.45倍で計算しています。

公務員によっても種類によってばらつきが見られますね。

ちなみに薬剤師全体の平均年収は580万円です。

今回の計算はすべて基本給で計算しています。諸手当を含めると薬剤師全体の平均年収と遜色ない収入と考えられます。

また、公務員は退職金が手厚いのが特徴です。

生涯年収で考えると民間企業で勤める薬剤師と比較して同等またはそれ以上が見込めるでしょう。

参考:令和4年 国家公務員給与等実態調査令和3年度 地方公務員給与の実態

公務員薬剤師のメリット・デメリット

公務員薬剤師の年収についても理解できたと思います。

一般的に公務員は以下のようなメリットがあります。

  • 福利厚生がしっかりしている
  • 安定した収入・退職金が得られる

では公務員の種類によってメリット・デメリットは違うのでしょうか。

続いて公務員薬剤師の種類ごとにメリット・デメリットを解説していきます。

薬系技官のメリット・デメリット

薬系技官の主なメリット・デメリットは次の通りです。

  • 民間企業と異なる業務経験が詰める
  • 異動が多い
  • 試験難易度が高い

順番に解説していきます。

メリット:民間企業と異なる業務経験が積める

公務員薬剤師は行政分野に携わることがあります。

特に薬系技官は制度づくりなどの行政関係の業務に携わります。

また、海外で業務する部署もありますのでグローバルな活躍もできるのが特徴です。

実務実習では調剤業務や服薬指導を経験したのでイメージがつかないかもしれませんね。

しかしながら、あなたの薬剤師としてのキャリアを豊かにしてくれるでしょう。

デメリット:異動が多い

様々な経験を積める薬系技官の仕事ですが、異動が多いのがデメリットでしょう。

およそ2年ほど経験を積むと新たな部署へ移動するのが一般的です。

常に挑戦する心づもりで業務に臨むのが良いかもしれませんね。

デメリット:試験難易度が高い

国家公務員の試験は難易度が高いです。

薬剤師として必要な知識はもちろん、一般教養や英語能力なども問われます。

普段の講義だけでは公務員試験合格は難しいのが現実です。

国家公務員試験を本気で目指すのであれば薬剤師国家試験の勉強に加えて国家公務員試験の勉強が必要でしょう。

麻薬取締官のメリット・デメリット

麻薬取締官の主なメリット・デメリットは次の3つです。

  • 特殊な業務に携わることができる
  • 危険な場面に遭遇する可能性がある
  • 転勤が多い

こちらも順番に解説していきますね。

メリット:特殊な業務に携わることができる

麻薬取締官は公務員の中でも特殊性が高いです。

麻薬や規制や区部の取り締まりや捜査などは一般的な薬剤師は経験しない業務です。

地道な取り締まりや捜査活動が実を結んだときには大きなやりがいを感じることでしょう。

デメリット:危険な場面に遭遇する可能性がある

麻薬の取り締まりという仕事柄危険な現場に遭遇することがあります。

特に逮捕の瞬間は最もリスクが高い場面のひとつです。

もちろん麻薬取締官は事故防止対策などを徹底しています。

ですが危険と隣り合わせの現場へ立ち会うリスクがあることは覚悟した方が良いでしょう。

デメリット:全国転勤がある

麻薬取締官は各地区の麻薬取締部で勤務することになります。

北は札幌、南は那覇まで全12か所の勤務地が存在します。

転勤の頻度は様々ですが管理者になると2年ほどで転勤することが一般的です。

転勤希望は聞かれますが最終決定は人事部が行いますのである程度は覚悟しなければならないでしょう。

地方公務員のメリット・デメリット

地方公務員のメリット・デメリットは次の3つです

  • 異動や転勤は管轄地域内のみ
  • 年齢制限がある
  • 副業が禁止されている

順番に確認していきましょう。

メリット:異動や転勤は管轄地域内のみ

公務員なので異動や転勤は避けられませんが地方公務員は管轄地域内での異動・転勤になります。

住み慣れた地域で仕事が続けられることは私生活のストレスは軽減につながりますね。

全国転勤のある国家公務員との違いのひとつと言えるでしょう。

デメリット:年齢制限がある

一般的に30歳未満でなければ公務員試験を受験することができませんので新卒見込みで受験がほとんどでしょう。

ただし、地域によって年齢制限は異なりますので自治体の募集概要を確認しておきましょう。

また、内定をもらっても薬剤師国家試験を合格しなければ内定取り消しとなります。

2つの試験を合格しなければなりませんので大きな負担となってしまいます。

デメリット:副業が禁止されている

法律で公務員は副業が禁止されています。

民間企業で働く方の中には掛け持ちで働く方もいますが公務員はできませんのでご注意ください。

公務員薬剤師になるには公務員試験合格が必要

公務員薬剤師は国や地方自治体に勤務する公務員です。

公務員になるには一般的に公務員試験を受けなければなりません。

  • 公務員試験とは?
  • 公務員試験の内容は?
  • 公務員試験の難易度は?

順番に確認していきましょう。

公務員試験とは?

公務員試験とは公務員の正職員として採用されるために必要な試験のことです。

一般的に国家公務員と地方公務員のどちらも1次試験と2次試験に分けて行います。

1次試験は主に教養試験や論文試験、2次試験は面接試験です。

国家公務員の場合、毎年3月下旬より受付が始まりますが、地方公務員の場合は自治体によって異なります。

事前に自治体などの職員採用情報を確認しておきましょう。

公務員試験の内容は?

実際の試験内容を確認してみましょう。

こちらは東京都で行われた令和4年度公務員試験の内容です。

参考:Ⅰ類B採用試験(一般方式)

このように公務員試験では薬剤師としての専門性はもちろんですが一般教養や文章能力も問われます。

また、国家公務員試験や地方自治体によって試験内容は異なりますので試験内容の事前確認が必要です。

国家試験の勉強をしながら公務員試験の対策をするのはハードルが高いと言えるでしょう。

公務員試験の難易度は?

では、令和4年度の東京都職員採用試験の結果を確認してみましょう。

参考:令和4年度職員採用試験(選考)実施状況

データを見てわかる通り採用人数は少ないですが、申し込み者数は多く公務員薬剤師は人気のある求人です。

ですが、およそ5人中4人が不合格という結果です。

自治体やその年度によって採用人数は変動しますが公務員薬剤師は人気のある狭き門と言えるでしょう。

まとめ

公務員薬剤師についての解説は以上になります。

公務員薬剤師は安定した給料で福利厚生がしっかりしているのが特徴。

薬局には無いような業務を経験できるのも魅力ではありますが倍率が高く試験の難易度が高い求人です。

国家試験の勉強をしながらの公務員試験の勉強は、あなたの大きな負担となってしまいます。

国家試験の勉強がおろそかにならないように気をつけてくださいね。

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