
「薬剤師として漢方を極めたい!!」と考えているなら生薬・漢方認定薬剤師がおすすめです。
漢方医学は、西洋とは異なる視点からアプローチする独特な考え方が特徴です。
こうした考え方を習得できればスキルアップになりますし、医療現場で重宝される存在になれるでしょう。
今回は「生薬・漢方認定薬剤師」をおすすめする理由や勉強方法などについて解説していきます。
漢方薬のプロフェッショナルの道を歩みたくなるかもしれませんよ。
生薬・漢方認定薬剤師について解説

まずは生薬・漢方認定薬剤師について解説していきます。
生薬・漢方認定薬剤師とは?
生薬・漢方薬に関する専門的な知識や知見、能力のある薬剤師と認められた場合に与えられる資格です。
この資格は、日本薬剤師研修センターと日本生薬学会の連名で認定を受けます。
漢方薬は複数の生薬を組み合わせて構成されているため、一つの漢方薬で複数の症状に効果を示すのが特徴です。
飲み方や、飲み合わせの他にも患者さんの体調や体質も踏まえたうえでの服薬指導が行えるようになります。
生薬・漢方認定薬剤師は漢方薬のプロフェッショナルと言えるでしょう。
生薬・漢方認定薬剤師をおすすめする3つの理由
なぜ、生薬漢方認定薬剤師がおすすめと言えるのでしょうか。
その3つの理由について解説していきます。
- 超高齢社会における漢方薬の需要増大
- 西洋薬とは異なるアプローチ方法が学べる
- 漢方薬局の開設も
順番にお伝えしていきます。
超高齢社会における漢方薬の需要増大
おすすめするひとつめの理由は漢方薬の需要が増えると予想できるからです。
現在の日本は超高齢社会に突入しています。
高齢者の場合、肝機能や腎機能が低下しているケースがよくあります。
また、基礎疾患を持っている患者さんも多くいます。
こうした場合では何種類もの薬を内服している場合が一般的ですよね。
そうした患者さんに対しての処方薬は、次のような内容を考慮しなければならないでしょう。
- 肝機能や腎機能の低下しているとき「禁忌」に該当しないか?
- 併用禁忌はないか?相互作用の影響は?
漢方薬は西洋薬と比べると「効果がマイルド」と言われています。
まったく考慮しなくていい分けではありませんが、高齢者に対しては使いやすいと言えますよね。
これから漢方薬の需要は増えると予測できるので生薬・漢方薬認定薬剤師の資格を取得するとよいでしょう。
西洋薬とは異なるアプローチ方法が学べる
漢方薬は西洋薬と全く異なる視点で治療します。
ちなみに、西洋薬とは人工的に化学合成された物質がほとんどでひとつの成分から構成されています。
西洋薬は「その症状」に対してのみ効果を発揮するのが特徴です。
一方で、漢方薬は天然由来の生薬を混ぜ合わせたもので、2種類以上混ぜ合わせて使うのが一般的です。
そのため、ひとつの漢方薬で複数の症状に対応が可能になるのです。
また、症状に対して独特の考え方でアプローチするのが特徴的です。
漢方医学では人体を「気」「血」「水」の3つで構成されていると考えます。
また、体内のバランスを「肝」「心」「脾」「肺」「腎」を5つに分けて考えるのです。
こうした人の体の目に見える不調、見えない不調を「証」として評価するのが漢方の考え方の特徴です。
西洋薬をメインに勉強するのでいまいちピンとこないかもしれません。
ですが、漢方薬の考え方が身につけられると普段の仕事でも活用できます。
医師の漢方薬の処方意図が、いままで以上に理解できるようになるでしょう。
漢方薬局の開設も
漢方薬に強みを見いだせるようになったら、漢方薬局を開設するのもよいでしょう。
漢方医学の考え方を習得できればどの生薬を選べばいいか判断できるようになりますよね。
そうなれば、一人ひとりの症状や体質、悩みに合わせての調剤が可能になります。
カウンセリングしながら生薬を選択できる薬剤師はなかなかいませんよね。
生薬・漢方認定薬剤師を取得して、ほかの調剤薬局とは違った魅力のある漢方薬局を開いてみませんか?
生薬・漢方認定薬剤師の目指す3ステップ

ここでは、生薬・漢方認定薬剤師の目指すための3ステップを順番にお伝えしていきます。
- 漢方薬・生薬研修会の修了
- 薬用植物園実習の受講・レポート提出
- 試問試験の合格
順番に解説していきます。
漢方薬・生薬研修会の修了
まずはじめのステップとして、「漢方薬・生薬研修会」へ参加しましょう。
これは、日本生薬学会と日本薬剤師研修センターが実施している研修会です。
この研修会の目的は、漢方薬と生薬の服薬指導や適正な取扱いなどおこなえる薬剤師の養成です。
薬用植物園実習を含む、全10回の研修会で構成されています。
研修会の受講方法は東京で開催される対面での座学のみでしたが、2021年からはオンライン講義も受講可能です。
ちなみに、受講料は税込み価格で60,500円かかります。
決して安くはありませんので、しっかり受講して自分のスキルにしていきましょう。
薬用植物園実習の受講・レポート提出
薬用植物園実習は、全国各地の薬用植物園約50カ所にて受講可能です。
受講可能な場所の詳細はこちらに記載がありますので確認するとよいでしょう。
参考:一般社団法人 日本生薬学会|漢方薬・生薬認定薬剤師制度
春と秋に実習が行われますので、どちらかで1回受講してください。
ちなみに、受講料は税込みで6,600円かかります。
受講後にレポート提出が求められますのでしっかり受講しましょう。
試問試験の合格
研修会を修了したら、試問と呼ばれる認定試験を合格する必要があります。
試問を受けるための条件は次の2つです。
- 9回の研修会の出席率80%以上
- 薬用植物園実習レポートの提出
試問では漢方薬や生薬に関する基礎的な知識が問われ、選択解答式の問題で構成されています。
合格率の過去平均を見ると90%以上ですから、講義や実習をしっかり受ければ決して難しくはないでしょう。
参考:一般社団法人 日本生薬学会|漢方薬・生薬認定薬剤師制度
万が一、合格できなかった場合でも次年度まで受験可能です。
漢方薬を勉強する2つの方法

ここからは、生薬漢方認定薬剤師を目指すうえでおすすめの2つの勉強方法を紹介します。
- テキストをもとに独学で勉強
- 漢方の「師匠」を見つける
順番に解説していきます。
テキストをもとに独学で勉強
生薬漢方認定薬剤師を目指すにあたって研修会の受講申請すると専用テキストが送られてきます。
テキストの詳細はこちらからご確認ください。
受講する研修会の内容や試験の内容は、おおむねテキスト内から出題されます。
ですから、テキストに沿って勉強すれば合格に近づきますね。
ただし、研修会でのみ教えてもらえる知識などもありますので、研修会はすべて出席するようにしましょう。
漢方の「師匠」を見つける
少し難易度が高いかもしれませんが漢方薬局を営む薬剤師のもとに弟子入りするのもひとつの方法です。
こちらの場合、より実践的なノウハウも学べるのがメリットです。
私の友人のケースですが、近所にあった漢方薬局の薬剤師に直接弟子入りをお願いして勉強していました。
そのあと、生薬・漢方認定薬剤師の資格を取得して自分の漢方薬局を経営しています。
ダメもとかもしれませんがお願いしてみる価値はあります。
あなたの本気度が伝われば、弟子入りを認めてもらえるかもしれませんよ。
まとめ

「漢方薬を極めたい!」と考えるなら、生薬・漢方認定薬剤師の資格取得がおすすめです。
超高齢化社会を迎えた日本では、漢方薬の需要増大が予測されます。
西洋薬とはまったく違った考え方を習得できれば薬剤師としての価値も高まります。
研修会や実務実習をしっかり受講して試問試験を一発合格しましょう。
送られてくる専用テキストを利用して独学で勉強するのもひとつですが漢方薬の師匠を見つけるのもひとつです。
あなたの本気度をぶつけて漢方薬のプロに弟子入りしてはいかがでしょうか。