薬剤師になるには

薬剤師免許の更新は必要?薬剤師が2年1度やるべき手続きとは?

「そういえば、薬剤師免許の更新はしなくて良かったんだっけ?」と焦っていませんか?

今、仕事をしていないとしても、薬剤師として復帰した時に「免許が失効していた!」なんてことは免れたいですよね。

実は薬剤師免許は一度とってしまえば、行政処分を受けない限り「生涯有効」です。

ですが、薬剤師として定期的に行うべき手続きがあります。

今回は、薬剤師が2年に一度やるべき手続きの内容を詳しくお伝えしていきます。

薬剤師免許の更新は必要ない!

結論からお伝えしますが、薬剤師の免許の更新は必要ありません。

長年、薬剤師の職場を離れていると、薬の知識など忘れてしまったり、新薬が分からないといったこともあるでしょう。

しかし、たとえ知識が抜けていってしまっても、一度国家試験を合格していれば薬剤師の資格がなくなることはありません。

運転免許は更新を忘れると車の運転ができなくなりますが、薬剤師免許はそのようなことはありませんので安心してください。

更新は必要なくても届け出をする必要はある

薬剤師免許の更新は必要ありませんが、2年に1度、定められた期間に届け出をする必要があります。

薬剤師法では以下のように定められています。

薬剤師法

第二章 免許

(届出)

第九条 薬剤師は、厚生労働省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年一月十五日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。

引用元:薬剤師法 | e-Gov法令検索

届け出は、以下の「届出表」を記載し、保健所へ提出します。

引用元:医師・歯科医師・薬剤師の皆様へ~2年に1度の届出をお願いします~ – 愛知県:薬剤師届出表

「届出表」は、厚生労働省のホームページからダウンロードするか、保健所でもらい、氏名や住所、現在の職場などを記載します。

この届け出は、「薬剤師免許を継続し与えて問題ないかを判断する」のではなく、「薬剤師の現在の情報を収集する」側面が強いのです。

薬剤師なら必ず届け出しないといけないの?

今現在、薬剤師として働いていなくても、届け出は必要なのかと疑問に思っているところでしょうか。

届け出は「日本国内に住所があって、薬剤師免許を持っている人」は必ずしなくてはいけません。

たとえ、今は子育て中で薬剤師の仕事をしていないとしても、ご自身で届け出をする必要があります。

薬剤師免許を持っていて届け出が不要とされるのは「海外に住所がある人」のみです。

中には「薬剤師になってから届け出なんてしたことない!」という人もいるかと思います。

もし、届け出の時期に薬局や病院へ就職していたなら問題ないでしょう。

届け出の時期になると、保健所から職場へ「届出表」が配布されます。

配布された届出表は、ほとんどの場合、職場の事務で記載し、保健所へ返送されます。

ですので、届け出は薬剤師の義務とされてはいますが、就職していれば職場が代わりにやってくれることが多いのです。

一方、届け出が必要なタイミングに、仕事をしていない薬剤師は自分で届け出をしなくてはなりません。

そんな背景もあり、届け出を忘れてしまう薬剤師が出てきてしまうのです。

届け出を忘れたらどうなる?

義務とされている届け出をしないと、どうなるのでしょうか。

薬剤師検索システムに表示されなくなる

届け出がされていない薬剤師は、厚生労働省が管理している「薬剤師資格検索システム」に出てこなくなります。

検索システムの詳細は以下の記事にまとめていますので、ご覧ください。

薬剤師検索システムで分かる?薬剤師名簿に登録されたか確認する方法

この検索システムは名前を検索することで、「その人が薬剤師なのか」「行政処分で薬剤師業務を禁止されていないか」が分かります。

今後、薬剤師として復帰する際、雇う側はあなたの名前を検索して、行政処分の対象になっていないか確認をするでしょう。

その時に名前自体、出てこないとなると、あなたへの信用が損なわれてしまいます。

罰金の対象になってしまう可能性も

薬剤師法には、届け出をしなかった場合のことも明記されています。

薬剤師法

(届出)

第九条 薬剤師は、厚生労働省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項を、当該年の翌年一月十五日までに、その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。

第五章 罰則

第三十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

三 第九条の規定に違反した者

引用元:薬剤師法 | e-Gov法令検索

「届け出を忘れたことで50万円の罰金を払った」という薬剤師は聞いたことがありませんが、思い出した時には速やかに保健所に相談するのが懸命でしょう。

実際、届け出はいつ、どうやるの?

ここまで、届け出は義務で、大切な手続きであることをお伝えしてきました。

では実際、どうやって届け出をするのでしょうか。

届け出はいつするの?

届け出は、西暦が偶数年の12月31日時点の情報を、奇数年の1月15日までに行います。

「奇数年の年始にやる!」と覚えておきましょう。

届け出はどこにする?

薬剤師法には「住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出」とありますが、保健所に届け出れば問題ありません。

あなたが現在住んでいる近くの保健所に届け出ましょう。

届出表を直接提出してもいいのですが、郵送でも提出が可能です。

偶数年の年末になると、各都道府県のホームページに届け出の案内が公開されますので、確認してみてください。

届出表はどうやって手に入れる?

薬局や病院には、保健所から届出表が送られますが、一個人には届出表は送られてきません。

保健所で直接もらうこともできますが、事前に記入したい場合は、ネット上でダウンロードできます。

偶数年の年末に公開される厚生労働省のホームページを確認してみましょう。

電子申請が出来る可能性も

自治体によっては、ネット上で完結する「電子申請」でも届け出ができます。

偶数年の年末に公開される、都道府県ごとの「届け出案内」のページで電子申請でも受け付けているかを確認できます。

電子申請をしたい場合は、ご自身が住んでいる都道府県のホームページを確認してみましょう。

薬剤師に届け出をさせる目的は?

そもそも、なぜ2年に一度、このような届け出が義務化されているのでしょうか?

この届け出の目的は「日本国内に住んでいる薬剤師の現在の業種などをまとめ、統計を作成する」ことです。

国勢調査の薬剤師版といったところでしょうか。

厚生労働省からは以下のように案内されています。

本統計は、 医師、歯科医師及び薬剤師について、性、年齢、業務の種別、従事場所及び診療科名(薬剤師を除く。)等による分布を明らかにし、厚生労働行政の基礎資料を得ることを目的とする。

引用元:統計の概要|厚生労働省

届出表には、氏名、住所以外にも、現在働いている職場の名前、卒業大学など、薬剤師関連の内容を細かく記載します。

届け出を元に集計された情報は、統計としてまとめられ、以下のように厚生労働省のホームページより公開されます。

令和2(2020)年 薬剤師調査の概況|厚生労働省

統計がなされることで、以下のようなことが分かります。

「都心に薬剤師が集中している」

「○○県の薬剤師は、前回の統計に比べ減少傾向である」

「○○県は男性薬剤師は減っているが、女性薬剤師が増えている」

この統計があることで、地方の薬剤師不足や女性薬剤師の社会進出など様々な事が可視化されるのです。

まとめ

以上、薬剤師の届け出についてまとめました。

薬剤師免許は更新は必要ありませんが、届け出は2年に一度の義務です。

仕事をしていない間は、特に忘れないよう気を付けていきたいですね。

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