結婚して苗字が変わると、役所・銀行・会社と、さまざまな手続きが必要になり、大変ですよね。
薬剤師であれば、大切な氏名変更の手続きとして『薬剤師免許』もあります。
ただ、その手続きをされる前に、つい数年前から薬剤師免許に旧姓が併記できるようになったという事実はご存知でしょうか?
今回は薬剤師免許に旧姓を併記することのメリットやデメリット、その方法についてお伝えします。
結婚していろいろな申請を始める前に読んでいただくことで、旧姓併記により、わずらわしい手続きを減らすことができるかもしれませんよ。
薬剤師免許に旧姓を併記する制度について
薬剤師免許への旧姓併記については、薬事法改正の省令により、令和元年6月1日から可能になりました。
旧姓併記ができるようになった経緯として、昨今の『男女共同参画社会の実現』という目標が挙げられます。
男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。(男女共同参画社会基本法第2条)
要するに「男女平等のためにも、結婚して新姓に変わることで不利益が出ないようにしよう」ということですね。
この旧姓併記が認められるまでも、薬剤師でも旧姓で働くことはできました。
しかし、それは『書き換えの義務はない』から、「放っておいてもとがめられはしない」というだけで、正規に認められているとは言い切れないものでもありました。
(以下平成29年5月の内閣府男女共同参画局の文章参照)
免許証の記載事項(氏名を含む。) に変更が生じた場合には、その書 換について義務はないため、免許 の書換交付の申請をしないこと で、旧姓の免許証をそのまま使用 することができる。
そこで、正式に旧姓を認めるべく、薬事法が改正されました。
ちなみに、この年の11月にはマイナンバーカード、住民票への旧姓併記も認められています。
薬剤師が旧姓のまま働くメリット
旧姓の時の成果(論文など)をそのまま引き継ぐことができる
研究者として働く薬剤師にとっては、最も大きなメリットではないでしょうか。
特に大学や研究機関で研究者として働いていると、どれだけ著名な雑誌に自分の名前で論文を載せたか、というのが大きな功績評価要素になります。
新姓に変わると、過去の旧姓論文と紐づけることが難しくなり、功績がゼロになってしまう可能性すら出てきてしまうのです。
実際に研究者たちの間でも、改姓による弊害は問題視されています。
主に女性研究者の結婚に伴う改姓.旧姓と目録・書誌・データベース類について(江上敏哲)
研究者として生きていく上では、旧姓併記により、過去の功績を残したまま働けるというのは必須条件ではないでしょうか。
プライバシーの観点から、結婚(離婚)したことが周囲にバレない
会社などで働く上で、苗字が変わるとどうしても「結婚したの?」と周囲にバレてしまいますよね。
会社内だけなら、まだビジネスライクに対応もしていけますが、患者さんなどは容赦ないストレートな質問で問い詰めてくる時もあります。
ぞんざいに扱うこともできない中、いちいちプライベートなことに答えていくのはストレスがかかります。
旧姓のままであれば、そういった煩わしさから解放されるでしょう。
印鑑や名刺を買い替えなくてもいい
薬剤師にとって印鑑は、一番身近な道具、と言っても過言ではないでしょう。
薬の袋や処方箋など、書類によって数種類の印鑑を使い分けながら、毎日何百回と押しています。
苗字が変わると、もちろんその相棒も買い替えです。
3〜4種類の印鑑を持っている人もいるので、いちいち全て買い替えるのも手間ではないでしょうか。
同様に、管理薬剤師など役職がつくと、名刺を持っている人は全て刷り直さなくてはなりません。
旧姓のままだと、こういった道具の買い替えが無くて助かりますね。
新姓への変更により、会社内で認識してもらえないという問題が起きない
会社内でのメールなど、苗字しか名乗らないことも多いため、新姓変更したことを知らない相手だと「誰?」みたいな反応になることがあります。
いちいち結婚したことを伝えるのも面倒ですし、薬局やドラッグストアは異動も多いため、「新しく異動した人なのかな?」と勘違いされたままであることも。
仕事に支障が出るというほどではないですが、改姓により相手に認識されなくなるというのは少し寂しいですね。
薬剤師が旧姓のまま働くデメリット
会社によってOKが出ないこともある
国としては旧姓でのデメリットが生じないよう働きかけているところですが、企業にまでその動きが追いついていないのが現状です。
現に平成28年度の報告書では、企業の半分ほどしか旧姓で働くことを許可していないことが分かりました。
旧姓使用の現状と課題に関する調査報告書(内閣府男女共同参画局)
それから5年ほどが経っているため、今はもう少し改善しているかもしれませんが、旧姓のまま働くことを会社に却下されてしまう可能性は、十分にあります。
新姓と旧姓の使い分けがわずらわしい
旧姓を引き続き使用する場合でも、戸籍上は新姓になっているのであれば、給与、保険、税金関係は新姓に変更の手続きをしなければなりません。
会社への提出物で「あれは新姓・これは旧姓」と使い分けをする必要が出てます。
そういった使い分けが煩雑(はんざつ)になり、間違いも起こる可能性があるので注意が必要です。
薬剤師免許に旧姓併記する際に必要な手続き
必要な手続き
●薬剤師名簿の訂正
籍を変更した後、30日以内に手続きを行う必要があります。
費用:1,000円(収入印紙)
注意:申請場所によっては、収入印紙の販売を行っていないこともあります。
事前に郵便局や区役所等で購入しておいた方が安心でしょう。
●薬剤師免許証書換交付申請
旧姓併記の免許を新しく交付してもらうための手続き。
期限はありませんが、薬剤師名簿の訂正と同時に申請することが多いでしょう。
費用:2,750円(収入印紙)
薬剤師名簿の訂正は旧姓併記する・しないに関わらず必須です。
ただ、薬剤師免許に関しては
- 旧姓併記したものを再発行してもらう
- 旧姓のままの免許を使い続ける
どちらの選択を取っても問題ありません。
しかし、会社によっては新姓も免許に記載がないといけないという指令も出るようです。
厚労省の方にも聞いてみましたが、ほとんどの方は❷よりも❶の旧姓併記で再発行されるとのことでした。
必要書類
- 薬剤師名簿の訂正申請書
- 薬剤師免許証の書換交付申請書(薬剤師免許を再発行する場合)
- 戸籍抄本
❶、❷の書類に関しては厚労省のこちらのサイトでダウンロードできます。
申請先
各都道府県の県庁・都道府県の保健所・政令市の保健所
お住まいの地域により、申請所はさまざまですので、下記厚労省のサイトをご参照ください。
薬剤師免許以外にも申請が必要なもの
保険薬剤師
国内のほとんどの薬局が保険調剤薬局ですので、薬局やドラッグストア勤務である方は保険薬剤師登録を行なっていると思います。
そちらも氏名の変更が生じた場合は届け出が必要となりますので、注意しましょう。
必要な手続き
●保険薬剤師の氏名変更の届出
こちらも薬剤師名簿と同じく、旧姓併記する・しないに関わらず届出が必要です。
期限に関しては、薬剤師名簿のように明確なものは設定されていませんが、「氏名の変更等の事由が生じた場合には、速やかに届出」とされています。
旧姓併記の際は「旧姓使用を希望する」旨を申請用紙に記載する必要がありますので、忘れないようにしましょう。
Q2-4婚姻等により改姓した後も旧姓を使用したいのですが、保険薬剤師は、どのような手続きが必要ですか。
A2-4改姓による薬剤師名簿の登録事項変更手続きの際に、旧姓使用を希望するために免許証の書き換えは不要と申し出た場合でも、保険薬剤師の氏名変更の届出は必要です。この場合、『保険医・保険薬剤師氏名変更届』に変更事由を記入していただくとともに、「旧姓使用を希望する」旨の記載をしていただくことで、旧姓のままの登録票を使用することができます。
必要書類
- 保険医・保険薬剤師氏名変更届
- 保険薬剤師登票
- 戸籍抄本
❶に関してはお住まいの地域の厚生局のサイトからダウンロードできます。
申請先
保険薬剤師登録を行なった都道府県を管轄する地方厚生(支)局の事務所など
以下のサイトでお住まいの厚生支局をお調べください。
研修認定薬剤師
必要な手続き
薬剤師の3人に1人が認定を受けていると言われている、研修認定薬剤師。
こちらも氏名登録の変更が必要です。
ただ、研修認定薬剤師のサイトによると
新規申請当時から住所が変わった方やご結婚等によりお名前が変わった方は当センターまでご連絡下さいますようお願い申し上げます。
ご連絡いただけませんと、「更新のお知らせ」等をお届けすることが出来ませんので、ご注意ください。
「更新のお知らせが届かなくなるから変更してください。」
ということですので、薬剤師免許や保険薬剤師登録などのように、名簿の書き換えが絶対必須ではなさそうです。
しかし、認定薬剤師証は例えばかかりつけ薬剤師を登録する際に、地方厚生局にコピーを提出する必要があります。
保険薬剤師登録と認定薬剤師証の氏名が異なることで不具合が発生する可能性も考えられます。
保険薬剤師登録を旧姓併記でお願いしている場合は、研修認定薬剤師の方も揃えた方が無難でしょう。
必要書類・提出先
届出の方法は2通りあります。
❶住所等変更届を郵送・FAX
日本薬剤師研修センターのサイトからダウンロード後、申請書に記載されている研修センターの担当部署まで郵送もしくはFAX。
旧姓併記希望の際は欄外など目立つ場所にその旨を記載しましょう。
❷Eメールで届出
件名に「認定薬剤師住所等変更」と入力し、お問い合せ内容に「薬剤師免許番号」又は「認定登録番号」、そして「旧姓併記希望」と入力すればメールでも届出が可能です。
その他の認定薬剤師に関しては、認定団体によって対応が異なりますので、各認定団体にご確認ください。
まとめ
令和元年から認められた薬剤師免許の旧姓併記によって、正式に旧姓を使用して働くことができるようになりました。
薬剤師が旧姓を使用したまま働くメリットとしては
- 研究成果の引き継ぎ
- 結婚・離婚のプライバシーが周囲から守られる
- 名刺や印鑑の買い替えが不要
- 新姓変更による会社での業務支障を免れる
などがあります。
ただ、デメリットとして
- 会社によってはNGが出る場合もある
- 新姓・旧姓の使い分けがわずらわしい
などもあります。
会社には必ず確認した上で、旧姓併記するかどうかを決めましょう。
また、旧姓併記をする場合は
- 薬剤師免許
- 保険薬剤師登録
- 認定薬剤師
での手続きが、それぞれ必要になります。
結婚にまつわるその他の手続き同様、しっかり漏れのないように行いましょう。
この記事が薬剤師免許の旧姓併記について、考察するきっかけになれば幸いです。
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