
薬学部には大きく分けて、国公立大学と私立大学の2種類があります。
国公立大学の方が、入試が難しくて学費が安い!というのは想像がつきますよね。
しかし、国公立と私立の差は、学生生活や卒業後の進路などの重要なポイントにも表れています。
薬学部に入れたものの、想像と違った!とならないためにも受験前におおまかなイメージをつかんでおきたいところです。
この記事では、国公立大学薬学部の特徴を私立大学と比較して解説します。
理想の学生生活を過ごし、希望の職業に就く助けになるかもしれませんよ。
国立大学について
国公立なら900万円もお得!避けて通れない学費の話

国立大学は一律で年間535,800円です。
国立以外の公立大学もおおよそ近い額になっています。
卒業までには3,214,800円かかります。
一方で私立は、年間約200万円です。
卒業までに約1,200万円、留年しようものならもっとかかります。
国公立に行けば900万円近くも安く済みます。
入試難易度、ライバルは医学部受験者!?

国公立大学の薬学部はやはり難しいです。
国公立大学の6年制コースを目指すのであれば、共通試験で80%ほどは取っておきたいです。
加えて、国立大学入試のこわいところは共通試験に失敗した医学部志望者が流れてくることです。
また、中期日程の公立大学は医学部受験者が滑り止めとして受験します。
国公立大学を目指す場合には、医学部受験者と戦える力をつけておくと安心です。
在学中の生活・学習、国家試験は後回し?

薬学部6年制コースにはコアカリキュラムというものがあり、これに沿って薬剤師に必要な知識を学んでいきます。
しかし、国公立大学での講義では、コアカリキュラムに沿ってはいるものの、国試の出題範囲よりも深い内容を扱うことがあります。
医療の実践よりも、文献上の知見が得意になります。
国家試験対策は卒業研究が終わったあとに、ようやく本腰を入れるようです。
卒業研究・卒業試験

学生生活の1大イベントである卒業研究。
国公立は私立と比較して卒業研究にとても力を入れています。
研究にあてられる期間は長く、国家試験の対策を始めるのが遅くなりがちです。
卒業までに学会発表をするように指導する研究室も多くあります。
そのかわりに卒業試験はありません。
学生の雰囲気

学習・研究・就職と、国公立大学はあまり面倒を見てくれません。
このためか、自分のことは自分でなんとかしようという考えの学生が多いです。
また、薬剤師に対してさめた考え方をする学生が結構います。
そもそも薬剤師を目指していない学生や、何かあった時の保険程度に薬剤師免許を考えている学生がちらほらいます。
国家試験の合格率・対策。東大生は意外と落ちる。
国公立大学は、ほとんど国家試験対策を講じてくれません。
学生一人一人の学習に委ねられます。
また、卒業研究のため国試対策に本腰を入れられるのが秋頃になります。
しかし、国家試験の合格率は高い水準にあります。
放任な環境の中で効率の良い学習法を身に付けていくのかもしれません。
国公立で国家試験を落とす人達のほとんどは、就職先で薬剤師免許が必須でなく、モチベーションを保てない人達ようです。
東京大学の合格率が低くなっているのは、このケースが多いことが理由とのこと。
進路・就職活動
ここでも国公立大学は手厚いサポートはしてくれません。
個人の力で戦います。
就職先としては、やはり薬剤師職が一般的です。
他には、研究職や開発職、MR、公務員などが挙げられます。
私立大学と比較して賢いイメージがあるためか、病院薬剤師や研究職の採用率は高めです。
どんな大学がある?薬剤師になれる国公立大学一覧
国立大学
北海道大学、東北大学、千葉大学、東京大学、富山大学、金沢大学、京都大学、大阪大学、岡山大学、広島大学、徳島大学、九州大学、長崎大学、熊本大学
公立大学
岐阜薬科大学、静岡県立大学、名古屋市立大学、山陽小野田市立山口東京理科大学
加えて、和歌山県立医科大学が薬学部を開設しています。
(2021年8月時点)
私立大学について
私立大学の薬学部は実に多種多様です。
以下の解説はその平均値を取ったものと考えてください。
受験難易度
様々な入試偏差値の大学があります。
上位の私立大学は国公立と同様に医学部受験者を意識した対策が必要になります。
一方で、ボーダーフリーの大学も一部あるようです。
在学中の生活・学習

低学年のときから国家試験を意識した勉強をします。
また、医療の担い手としての薬剤師を育てるべく、実臨床の知識を重点的に指導されます。
国家試験の合格率をセールスポイントにしている大学では、厳しい進級条件が課されます。
各科目・学年ごとに国家試験合格を見込める力をつけなければ、容赦なく留年させられます。
私もなんとか留年を避けられるよう、勉強してきました。
学生の雰囲気
薬剤師になれることを誇りに思っている学生が多いです。
その分、早期から国家試験の対策を始める学生や、医療の知識・技能を身に付けることにモチベーションが高い学生が多くいます。
卒業研究・卒業試験
卒業研究は国公立と比較して、重くないことが多いようです。
期間も短く、早く国家試験対策に打ち込めます。
代わりに卒業試験があります。
卒業試験までに国家試験合格相当の実力を身に付けない学生には、国試受験資格を認めてくれない大学もあります。
国家試験の合格率・対策
合格率は大学によりけりですが、入試難易度との相関はそこまで強くありません。
私立大学は予備校講師を大学に招き、国家試験対策を実施してくれます。
入学時の成績をフォローして国家試験を合格に導いてくれるような体制を整えている大学があるのです。
しかし、前述の通り合格を見込めない学生を国試以前の段階で脱落させる大学があります。
怖いですね。
進路・就職活動

ありがたいことに大学が手厚いバックアップをしてくれます。
やはり、多くの学生は薬剤師職に就きます。
また、私立大学の学生は開けた性格のイメージがあるため、MRなどの職業で有利になることがあるようです。
一方、研究就職を目指すのは少し難しくなります。
研究職を目指す場合は、研究室配属のとき、担当教授にその旨を伝えてやりがいがあるテーマをもらうと良いかもしれません。
まとめ
国公立大学と私立大学を比較してきました。
国公立大学は放任な環境で自主的な成長を目指せる環境です。
一般的な私立大学は大学のサポートの下で薬剤師になることを目指す環境です。
違いはありますが、どちらが優れているということはありません (学費以外) 。
あなたの目標に合わせて悔いのない選択をしてください。