
薬剤師免許には、更新がありません。
しかし、医療の世界は日々高度に進化し、法律や制度も時代に合わせて変わっていきます。
患者さんへ最新の医療を提供するためにも日々の勉強が欠かせませんが、
「薬剤師免許を取るために、うんざりするほど勉強したんだから、もういいじゃん」なんて考えていませんか?
もしもそんなことだと、将来的に使えない薬剤師になってしまうかもしれません。
薬剤師としての責任を果たすためには、生涯に渡る自己研鑽(じこけんさん)がとても大切です。
とは言っても、毎日多忙な業務の合間に勉強するのは大変。
何を勉強したら良いのかわからないなんて時は、認定薬剤師の資格を取得するのがオススメです。
認定薬剤師って何?

「認定薬剤師」という言葉をよく聞きますが、そもそもどんな資格・制度なのか知っていますか?
薬剤師認定制度とは、医学・薬学の高度化・専門化に伴い、特定の医療分野等において高度な知識や技量、経験を持つ薬剤師を認定する制度。
各種の認定薬剤師・専門薬剤師資格があり、様々に細分化された認定制度が存在する。薬学系の大学・団体・学会が認定する。現在のべ1万人ほどの薬剤師が各種認定制度で認定を受けている。
薬剤師免許には更新がないので、事実上薬剤師全体の資質水準を規定するものであり免許更新に代わる仕組みである。
要するに「日々努力して、知識を深めた薬剤師の証」ですね。
薬剤師免許証には更新がないので、それにに変わる仕組みとも言われています。
認定制度は「薬剤師認定制度認証機構(CPC)」という機関が主催していて、認定の種類は以下の3つ
- 生涯研修認定制度
- 特定領域認定制度
- 専門薬剤師認定制度
それぞれ認可を受けた大学や団体、学会などが研修を行っており、現在30を超える認定機関があります。
各認定制度の違いが少しわかりにくいので、それぞれどんな制度なのか簡単に見てみましょう。
生涯研修認定制度
病院薬剤師が研修への意欲を高め、知識や技能を深めるために制定されたものですが、
現在では、より病院薬学に特化した「日病薬病院薬学認定薬剤師」が、生涯認定薬剤師制度に代わって設けられています。
「日病薬病院薬学認定薬剤師」の認定を持っていると、病院や診療所、介護施設などで
一定以上の実力がある薬剤師として、証明することができます。
認定に必要な単位の数が多かったり、更新に6年かかったりしますが、
病院という「より命に近い現場で活躍する病院薬剤師」のための認定制度なので、取得が大変なのは納得ですよね。
特定領域認定制度
特定の分野・領域に絞った内容の研修を受講し、知識や技術を取得した成果を認定する制度です。
例えば
- 研修認定薬剤師
- がん薬物療法認定薬剤師
- 緩和薬物療法認定薬剤師
- 日本医療薬学会認定薬剤師
- 救急認定薬剤師
- プライマリ・ケア認定薬剤師
- 在宅医療支援認定薬剤師
- 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師
- 小児薬物療法認定薬剤師
- 漢方薬・生薬認定薬剤師
- 感染防御認定薬剤師
- 精神科薬物療法認定薬剤師
- スポーツファーマシスト
などなど、ざっと挙げただけでも、こんなにたくさん種類があります。
これらの認定は病院薬剤師でなくても取得することが可能ですが、
認定する学会や団体に所属していないと取得できないものもあるので注意が必要です。
専門薬剤師認定制度
特定の分野において、最先端の薬物療法の知識や技術が習得できるだけでなく、その専門分野で研究や指導を行う薬剤師です。
医師は、内科、外科、皮膚科など専攻がありますが、薬剤師にはありませんよね。
この専門薬剤師の認定を受ければ、それに近い技術と能力が身に付くイメージです。
以上、簡単にそれぞれの制度の違いや内容を見てきました。
でも、こんなにたくさんの認定資格があると、どれを取得すれば良いのか分からなくなりますよね?
上に挙げた中で、取得するとしたら、
日本薬剤師研修センターが主催する「研修認定薬剤師」がオススメです。
研修認定薬剤師をオススメする3つの理由

様々な種類の「認定薬剤師」がある中で、日本薬剤師研修センターの「研修認定薬剤師」をオススメする理由は3つ
- 薬剤師になりたてでも取れる
- 単位を取得しやすい
- 更新しやすい
他の認定資格には、勤務実績が必要だったり、単位の取得や更新が大変なものが多いのですが、
「研修認定薬剤師」は誰でも認定を取りやすいことが一番のポイントです。
薬剤師になりたてでも取れる
他の認定資格には、薬剤師として実務経験年数が必要なものが多い中、
「研修認定薬剤師」は、薬剤師になり立てでも取ることができます。
例えば、薬剤師としてちょっと憧れる「がん薬物療法認定薬剤師」は、
- 薬剤師として5年間の実務経験が必要
- 日本病院薬剤師会もしくは日本薬剤師会、日本女性薬剤師会の会員になる必要がある
- 日本医療薬学会、日本薬学会、日本癌治療学会ほか既定のいずれかの会員にならなければならない
- 病薬病院薬学認定薬剤師または日本医療薬学会認定薬剤師でなければいけない
- 申請時に、病院または診療所に勤務し、がん薬物療法に引き続いて3年以上従事していなければいけない
さらに、あと4つくらい認定要件があり、取得へのハードルがとても高いです。
もちろん、がん薬物療法認定薬剤師を取ってはいけないということではありません。
「研修認定薬剤師」は、がん薬物療法認定薬剤師のようなより高度で専門的な認定を取るための、足がかりになります。
単位を取得しやすい
色々な団体や企業が、日本薬剤師研修センターの認定が取れるe-ラーニングを行っており、
スマホや自宅のパソコンなどから受講することができます。
薬剤師として忙しい毎日を送り、家に帰ってからの隙間時間を利用したり、
休職している間でも単位が取れるのは嬉しいですよね。
外部研修のように開催される日時に合わせて会場に行く必要がないので、
インターネットで時間を気にせず受講できるのは、とても助かります。
もちろん、会場に集まる研修会や勉強会でも単位を取得することができ、
両方の単位を合算することができるので、上手く活用すれば最短で単位を取得できます。
更新しやすい
更新には、更新に必要な単位を取得しなければなりませんが、
新規で申請する時と同様にインターネットや勉強会で単位を取得すれば大丈夫です。
このように、新人薬剤師でも働きながら単位が取りやすく、更新もしやすいので、気軽に取得することができるんです。
薬剤師にとって継続的に勉強を続けていくことってとても大事なことですよね。
薬剤師は常に自分の知識をアップデートし続ける必要があります。
仕事を全力で頑張りながらでも、無理なく勉強を継続できるというのは、ベストだと思います。
研修認定薬剤師になるメリット

「研修認定薬剤師」になることで、あなたにどんなメリットをもたらすのでしょうか?
せっかく頑張って「研修認定薬剤師」になっても、それに見合う評価がないと認定取得へのモチベーションが上がりませんよね。
しかし、継続は力なり、努力は必ず報われます。
「研修認定薬剤師」になることで得られるメリットを3つお話しします。
薬剤師としての能力を上げることができる
薬剤師免許には更新がありませんが、認定薬剤師には認定期間があり、更新するために日々の勉強が必要です。
研修認定薬剤師になることで薬剤師としての知識を高いレベルで維持できるだけでなく、
最新の医療技術や、時代に合わせて変わる規制や法律に対応できる力がつきます。
2年に1度、必ず調剤報酬改定が行われますよね。
調剤報酬の算定要件が都度(つど)変わり、内容を覚えるだけでも一苦労です。
また、薬の適応や副作用情報、添付文書記載内容も日々更新されますが、
日々、勉強を続けることで薬剤師としての知識や能力が上がるので、こうした環境の変化にも余裕で対応できる力が身につくんです。
かかりつけ薬剤師になれる
平成28年度の調剤報酬改定で「かかりつけ薬剤師指導加算」が新設されました。
かかりつけ薬剤師とは、薬や健康、介護に関することなどの豊富な知識を持ち、患者さん一人一人のニーズに合わせて相談に応じることができる薬剤師です。
かかりつけ薬剤師になるには
- 薬局勤務経験が3年以上あること
- 勤務先の薬局に週32時間以上勤務していること
- 勤務先の薬局に1年以上在籍していること
- 医療に関わる地域活動に参加していること
- 認定薬剤師を取得していること
と5つの要件を満たすこととされています。
対物業務から対人業務へ、薬剤師の仕事がシフトする中、かかりつけ薬剤師であるということは、とても重要です。
「研修認定薬剤師」であるということは豊富な知識を持ち、常に最新の学習をしていることの証明となります。
今までの調剤や薬の管理しかできない薬剤師は、将来どんどん淘汰(とうた)されていく可能性が高く、
「研修認定薬剤師」になることは、これからも必要とされる薬剤師として生き残るために、大きなメリットになると言えます。
転職の際にアピールポイントになる
「研修認定薬剤師」であることは、転職の際にも企業へのアピールポイントになります。
転職先でも、勤務実績と地域活動の要件を満たせば、かかりつけ薬剤師として働くことができるため、
企業としても、高い知識と技能を持つ薬剤師を、重宝し必要とします。
履歴書や職務経歴書にも、「研修認定薬剤師」を保有資格として記入することができるので、他の転職者よりもアドバンテージを持って、転職活動をすることができます。
以上のことから、技術・能力の証明や、キャリアアップを目指すことができるので、「研修認定薬剤師」になることは、大きなメリットがあると言えます。
研修認定薬剤師になるには

「研修認定薬剤師」になるには、対象となる研修を受けて単位を取得し、日本薬剤師研修センターへ申請すればOK。
認定を受けるための要件
新規に研修認定薬剤師の認定を受けるためには
- 4年以内に40単位
- 複数年かけて取る場合は、最低でも年5単位以上取得
「4年以内」ということなので、頑張れば1年でも取得可能です。
ただし、時間をかけて取得する場合、年間最低5単位取得する必要があることが注意点です。
例えば、
1年目3単位
+2年目10単位
+3年目15単位
+4年目12単位
=40単位取得
と取得した場合、1年目に5単位取れていないので、申請することができません。
必ず最低でも年5単位は取得する必要があるので、気をつけてください。
単位の取得方法
研修会に出席したり、自己研修で取得することができます。
出典元:日本薬剤師研修センター
- 集合研修
- グループ研修
- 自己研修
- 通信講座研修
- 実習研修
それぞれの研修で取得した単位は、合算することができますが、
- グループ研修:5単位/1期
- 自己研鑽:5単位/年
- 通信講座研修:15単位/1期
- 実習研修:5単位/年
といった、上限があるので注意が必要です。
この中でe-ラーニングは集合研修にあたり、年間取得できる単位数に上限がありません!
頑張れば、数週間で必要な単位を取ることも可能です。
最短2週間で取得した人もいるので、あとはあなたのやる気次第!
薬剤師が自宅に居ながらスキルアップできるeラーニングおすすめ5選
研修認定薬剤師の更新について

研修認定薬剤師の資格は、3年に1度更新しなければいけません。
更新の要件として、3年以内に30単位の取得が必要です。
ここでも最低年5単位以上の取得が必要なのは要注意!
うっかりして年5単位取れずに、資格喪失(しかくそうしつ)してしまう人がとっても多いので、気をつけてください。
まとめ
薬剤師免許には更新がありません。
しかし、薬剤師は生涯にわたって自己研鑽が必要です。
「認定薬剤師」は免許の更新と同じ意味合いを持ち、
取得するなら、日本薬剤師研修センターの「研修認定薬剤師」が特にオススメです!
理由として、「研修認定薬剤師」は
- 新人薬剤師でも取得でき
- 単位も取りやくすく
- 更新もしやすい
ので、薬剤師が継続して勉強をするために最も適しているからです。
また、「研修認定薬剤師」になるメリットとしては、
薬剤師として高いレベルで知識や技能を維持することができ
最新の医療技術や、時代に合わせて変わる規制や法律に対応できる力がつくため
自身の薬剤師としての能力の証明になります。
また、勤務実績と地域活動の要件を満たせば、かかりつけ薬剤師になることができるため、
転職の際にも、大きくアピールポイントになると言えるでしょう。
以上のことから、あなたも薬剤師研修センターの「研修認定薬剤師」の取得を目指し、頑張ってみませんか?
こちらの記事では、薬局薬剤師におすすめの資格をまとめているので、参考にしてください。
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