
「薬剤師としてグローバルに活躍したい!!」と海外転職を考えていませんか?
世界で活躍しようとする姿勢は素晴らしいですが、事前準備などはしっかりしたほうが安心ですよね。
ただ、その国の医療制度や文化、日本の薬剤師免許が使えるかどうかなど下調べは相当な労力を必要とします。
いざ海外へ渡ったあとに「こんなはずでは無かったのに」と後悔するのは避けたいところです。
そこで今回は海外で薬剤師として働く方法や日本と海外の違い、働き先の探し方について解説していきます。
前提として海外で働くには日本の薬剤師免許は使えない

まず前提として日本の薬剤師免許は海外では使えないと理解しておきましょう。
一般的な方法としてはその国の薬剤師国家試験を受験するのが正攻法です。
ただし、免許の書き換え申請や日本の薬剤師免許がそのまま使える国もあります。
今回は、最先端の医療を提供する「アメリカ」
免許の書き換え申請が可能な「イギリス」
日本の薬剤師免許があれば受験資格が得られる「韓国」
日本の薬剤師免許がそのまま使える国「タイ」
以上の4か国に絞って順番に解説してきます。
アメリカ
アメリカで薬剤師として働く場合、大きく分けて次の2つの方法があります。
- Pharm.D.を卒業する
- FPGEEの認定証を得る
順番に確認していきましょう。
Pharm.D.を卒業する
アメリカの薬剤師国家試験を受験するにはPharm.D.を卒業し、インターンで臨床研修を受けなければなりません。
Pharm.D.とは、日本でいうと大学院のようなものです。
Pharm.D.へ進学するには次の2つの方法があります。
- アメリカの科学系の単位が取れる大学へ入学もしくは2~4年間アメリカの専門学校で勉強する
- 日本の薬学部を卒業した後、Pharm.D.へ編入する
どちらの方法でもネックになるのが、非常に高額な学費でしょう。
日本の年間の学費は、最大でも200万円ほどですが、アメリカは500万円ほどかかると言われています。
この高額な学費を払える金銭的な余裕があるかどうかが一番の問題になりますね。
FPGEEの認定証を得る
FPGEEの認定証を得られれば国家試験の受験資格が得られます。
FPGEEとは、外国人向けの薬学試験です。
この試験の合格のほかに、次の2つを満たしている必要があります。
- TOFELスコア550点以上
- TSEスコア50点以上
この2つを満たしているとFPGECと呼ばれるアメリカでのインターン研修資格が得られます。
ちなみに、TOFELとは英語圏の大学・大学院へ留学希望する人の英語力測定試験でTSEはスピーキング能力試験です。
インターン研修は州ごとで異なりますが、500~2000時間以上の研修を受けなければなりません。
そこから国家試験を受けるのですから、アメリカで薬剤師を目指すのはハードルが高いと言えるでしょう。
イギリス
イギリスで薬剤師として働く場合、次の2つの方法があります。
- 日本の薬剤師免許を変換する
- MPharm過程を修了する
順番に確認していきましょう。
日本の薬剤師免許を変換する
日本で薬剤師免許を取得している場合、GPhCと呼ばれるイギリスの薬剤師免許登録機関へ変換申請が可能です。
申請が通ると、英国薬剤師免許変換コース (OSPAP) に1年通います。
OSPAPを卒業後、1年間の義務実務研修を受けます。
この実務研修の最後に英国薬剤師免許筆記試験を行い、それを合格すればイギリスの薬剤師になれるのです。
ただし、GPhCへ薬剤師免許の変換申請するときにIELTSのスコア提出が必要になります。
IELTSは英語能力を示す試験のひとつです。
- リスニング
- リーディング
- ライティング
- スピーキング
この4分野に分かれた試験で、それぞれ7.0以上のスコアが求められます。
ちなみに、イギリスの大学院へ入学する際は最低でも6.0~6.5程度のスコアを必要とします。
こうした背景を考えると、GPhCの審査通過の難しさが分かるでしょう。
MPharm過程を修了する
こちらは、イギリスのMPharm課程を修了する方法です。
これは日本でいうところの薬学部大学です。
4年間勉強し、卒業できれば1年間のインターン研修を受けられるようになります。
研修終了後、薬剤師試験を合格・登録申請すればイギリスの薬剤師として働けるようになるのです。
また、「処方権」を有する薬剤師になるには2年以上の実務経験を積む必要があります。
実務経験を積んだ後に独立処方課程と呼ばれる修士課程を修了すれば処方薬剤師免許が取得可能です。
韓国
韓国で薬剤師になるには韓国の薬剤師国家試験を合格しなければなりません。
国家試験を受ける方法として次の2つの方法があります。
- 韓国の薬剤師国家試験を受験する
- 韓国の薬学部へ編入する
順番に確認していきましょう。
韓国の薬剤師国家試験を受験する
日本で薬剤師免許を取得していれば韓国の薬剤師国家試験受験が可能です。
韓国の制度では、海外の薬学部を卒業して薬剤師免許を取得した人は韓国の薬剤師国家試験受験を認めています。
ただし、予備試験の合格が必要になります。
アメリカやイギリスと比べると比較的ハードルは低いと言えるかもしれませんね。
しかしながら、仮に合格したとしても語学スキルは求められます。
韓国で働くなら韓国語や英語のスキルが必須になるでしょう。
韓国の薬学部へ編入する
もし、日本の薬学部で勉強中であれば韓国の薬学部へ編入も可能です。
大学2年生以上の過程を修了した者または修了予定者が対象ではあります。
必要書類を提出し審査が通れば編入が認められます。
ただし、このときPEETと呼ばれる編入試験を合格しなければなりません。
また、TOEICやTEPSといった公認英語の成績証明やTOPIKと呼ばれる韓国語能力試験の成績証明も必要です。
海外で働く以上、語学能力は必ず求められるところでしょう。
タイ
タイは、日本の薬剤師免許があれば働ける例外の国のひとつです。
対象となるのは日系の病院やクリニックですから対象患者は日本人がメインになります。
日本人が働く企業は多いので日本人の医療者の需要も高いと言えるでしょう。
ですが、こうした海外の求人はほとんど現れないので転職は難しいのが実情です。
また、海外で生活するとなると外国語スキルは少なからず必要になります。
日本と海外の薬剤師事情の違い

海外で薬剤師として海外で働くにはその国の薬剤師免許が必要になります。
また、英語などの語学能力が必須になりますよね。
次は、薬剤師ができる仕事内容や給料事情いについて解説していきます。
仕事内容と年収の違いを比較
日本と海外の薬剤師の仕事内容や年収の違いについて以下の表にまとめました。

日本や韓国などでは調剤・鑑査や服薬指導などがメインですよね。
アメリカやイギリスとの大きな違いは処方権や予防接種をするところでしょう。
この背景には、ファーマシーテクニシャンの存在があります。
薬剤師の指示のもとピッキングや在庫管理、患者からの相談日程の調整などの業務を行います。
こうした存在がいるからこそ薬剤師は職能を活かして薬学的教育などに力を注げるのです。
また、海外ではリフィル処方箋が浸透しています。
日本にでは、まだ馴染みのない制度ではありますが、海外における薬剤師の裁量の大きさがうかがえますね。
その分、薬剤師の収入も高くなる傾向にあります。
韓国と日本が同じような年収なのはそういった理由が背景にあると考えられますね。
また、タイ年収が低く思えますが、物価が非常に安い国です。
タイで生活するならば、ある程度豊かな暮らしができるでしょう。
薬剤師が海外で働くメリット

では、海外で薬剤師として働いたときどのようなメリットがあるのでしょうか。
- 海外の文化に触れられる
- 海外の医療事情が理解できる
- 身につけた語学能力を他に活かせる
順番に確認していきましょう。
海外の文化に触れられる
海外で働くと、日常的にその国の文化に触れながら生活します。
買い物や車の運転だけでも新鮮な気持ちを味わえるでしょう。
また、日本にはないような宗教文化が海外にはあります。
様々な価値観と出会うとあなたの人生観が変わるかもしれませんね。
海外で働くのは、貴重な人生経験になるのは間違いないでしょう。
海外の医療事情が理解できる
新薬の開発や治験薬の使用研究などは海外の方が発達しています。
日本では遅れて販売されるような医薬品も海外では当たり前に使われています。
こうした先端を行く医療現場で働けるといち早く情報収集ができるでしょう。
薬剤師としてスキルアップするなら海外で働くのは大きなメリットになりますね。
身につけた語学能力を他に活かせる
身につけた語学能力は薬剤師以外にも活かせるでしょう。
医療記事の翻訳や通訳などで副業的に活用するのもひとつの方法です。
日本に帰国した後も語学力を活かした活動を続けるのもよいかもしれませんね。
薬剤師が海外で働くデメリット

海外で働く薬剤師を魅力的に思えるかもしれませんがデメリットについても知っておくべきでしょう。
- 孤独や不安を感じやすい
- リストラに合う可能性
- 日本と比べて治安が悪いことも
順番に確認していきましょう。
孤独や不安を感じやすい
知り合いが誰もいない海外で生活するのは寂しさを感じやすいでしょう。
海外の文化や生活に馴染めないと余計につらい気持ちになってしまいますよね。
特に、移住し始めたときはカルチャーショックを受けやすい傾向にあります。
ストレスに押しつぶされないよう全てを受け入れるつもりで生活した方がよいでしょう。
リストラに合う可能性
日本と比べてリストラが当たり前に起こるのが海外の特徴でもあります。
医療従事者の場合は比較的少ない傾向にありますが全くないとは言い切れません。
わざわざ海外へ移住したのに突然クビを宣告されてしまうと非常にショックですよね。
そうしたリスクがあるとあらかじめ心得ておいた方がよいでしょう。
日本と比べて治安が悪いことも
日本は世界トップ10に入るほど安全な国と言われています。
そうした日常が当たり前になっていますから海外の治安の悪さに驚くかもしれません。
特に、発展途上国は治安の悪いところが多いので注意しましょう。
常に警戒心を持って生活するのは慣れていないあなたにとってはストレスに感じるかもれません。
薬剤師として海外で働くのが向いている人

海外で働くなら「環境の変化に動じないメンタル」がある人は向いていると言えるでしょう。
海外の宗教や文化などに早く馴染めるとストレスは少なくなります。
現地で友人ができると楽しみが増えますよね。
また、「積極的に勉強したい」と考えている人も海外勤務が向いています。
日本人は受け身になりがちですが海外では積極的な行動力がポイントになります。
最先端の医薬品事情を学び、活かす姿勢はどの国でも必要とされるでしょう。
薬剤師として海外で働くのが不向きな人

「環境の変化に対応するのが苦手な人」は海外で働くのはあまり向いていないかもしれません。
慣れ親しんだ日本の生活からガラッと変わると大きなストレスを感じるでしょう。
もし、海外で働きたいと考えるなら「何事もチャレンジしていこう」と思うのがおすすめです。
挑戦する気持ちの方がストレスは少なくなりますし前向きな考え方に変わるかもしれませんよ。
海外で働く方法は他にないの?

薬剤師として働くなら、基本的にはその国の薬剤師免許が必要ですが、それ以外に働く方法はないのでしょうか?
今回は2つの方法を紹介します。
- 海外ボランティアとして働く
- 海外転職支援サイトに登録しておく
順番に確認していきましょう。
海外ボランティアとして働く
「国境なき医師団」や「青年海外協力隊」といった海外ボランティアを通して働く方法がひとつの方法です。
ただし、募集要項を確認してから応募しましょう。
例えば、国境なき医師団では次のような募集条件を出しています。
- 求める人物像に記載されている資質を参照
- 2年以上の臨床経験
- 総合病院での勤務経験
- マネジメント・監督・教育の経験
- 英語またはフランス語で業務ができること
- 参考:国境なき医師団|人材募集 薬剤師
また、ボランティアといっても給料は発生しますが一般的な薬剤師と比べると少ないのが実情です。
「薬剤師として海外で経験を積みたい」と本当に考えているなら応募するのもよいでしょう。
海外転職支援サイトに登録しておく
海外の薬剤師求人は非常にまれですが、転職サイトがそうした求人を取り扱っている場合があります。
大手薬剤師転職サイトの「薬キャリAGENT」や「ファルマスタッフ」などに登録するのもひとつです。
これに加えて、海外転職支援サイトもおすすめです。
少し毛色が異なりますが、こうした転職支援サイトにはアジア圏の薬剤師求人を取り扱っています。
薬剤師転職サイトとともに登録しておくのがおすすめです。
まとめ

海外で薬剤師として働くには日本の薬剤師免許が使えない場合がほとんどです。
その国によって薬剤師免許の取得方法が異なるのであらかじめ調べる必要があります。
また海外で働く以上、語学能力が求められるので海外で働くハードルは非常に高くなりますね。
「本当に海外で経験を積みたい」と考えるなら海外ボランティアや転職支援サイトを活用してみましょう。
時間はかかるかもしれませんが海外勤務のチャンスが訪れるかもしれませんよ。
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かつては売り手市場と言われた薬剤師の転職も、その変化の影響を受けないわけがありません。
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