「薬剤師不足」という言葉を一度は聞いたことがありませんか?
薬剤師の資格があれば、一生困らないなんて、以前から言われていましたよね。
しかし最近は「薬剤師が余ってしまう?」なんて言われるようになっています。
薬剤師の資格を持っていれば安心という時代は、もう終わりに近づいているのかもしれません。
薬剤師需要の現状と、今後について考えてみようと思います。
薬剤師需要の現在

2021年4月26日に、厚生労働省は「薬剤師の養成及び資質向上に関する検討会」を開きました。
この検討会によると、2045年に最大で12.6万人(人口減など考慮して少なくても2.4万人)の薬剤師が過剰になってしまうと言われています。
上の表を見ると、現在は
- 院外処方箋の発行の伸び
- 高齢化の進行
があり、しばらく需要と供給は釣り合っています。
では現状、需要の状況はどうなっているのでしょうか。
地方での需要が高い
薬剤師の求人には、地域によるかたよりがあり、地方では薬剤師不足が深刻です。
特に沖縄県、福井県、青森県、山形県、福島県、岐阜県、岩手県では、人口10万人あたりに必要な薬剤師の数が、全国平均を大きく下回っています。
東京のような大都市では、薬剤師の数も多いですが、その分病院や薬局も多いので需要と供給のバランスは保たれています。
地方では田舎になればなるほど病院や薬局が少なく、高齢者が多いのに薬剤師が不足している地域がとても多いです。
薬剤師を確保するために、給料が良いだけでなく住宅費がタダだったり引越し費用を出してくれたりと破格の待遇をしている企業もあります。
それだけ地方の需要は高いと言えます。
職種によって需要が違っている
ひとことに薬剤師と言っても、その職種によって人員のかたよりがあるようです。
給料が高く、比較的人気の職場は求人が落ちている傾向にあり、給料が低く、きついと言われる病院の薬剤師は慢性的な人手不足のようです。
誰しも、キツくて待遇も良く無い仕事なんて、したく無いと思ってしまいますよね。
需要と供給が、職場の属性によっても変わっているのが現状です。
需要と供給のバランスが崩れていく?

先に挙げた表からも見て取れるように、
長い目で見ると、人口減少の影響を受けて需要と供給の差がどんどん広がってしまっています。
2045年に最大で12.6万人(人口減など考慮して少なくても2.4万人)の薬剤師が過剰になってしまうデータがあるのです。
なぜこんなに需要と供給の幅が広がっていくのでしょうか?
薬剤師の需要と供給のバランスが崩れる主な原因として
- 薬剤師の供給過多
- ピッキングなど薬剤師以外が出来る業務の拡大
- 対物業務の機械化
が考えられます。
薬剤師の供給過多
最近の薬剤師の有効求人倍率は、急速に減少しています。
厚生労働省の資料によると、医師・薬剤師の求人倍率は、2016年9月には5.92倍だったのに対して2020年9月には2.01倍にまで下がっています。
同じ年の全職種の有効求人倍率は0.95倍なので、それでも薬剤師はまだ高い水準と言えますが、薬剤師の充足は明らかです。
地方の人員不足も、いずれ解消してしまいそうですね。
また、2025年には、日本の4人に1人が75歳以上の後期高齢者という、超高齢社会となります。
高齢者の数が増え、在宅医療のニーズも高まり、薬剤師の需要が伸びていくと思われますが、2040年頃になると一転、高齢者人口は減り始めます。
そのため患者さんの数も減るので、さらに薬剤師が余ってしまう可能性があります。
非薬剤師の業務の拡大
2019年に出された「0402通知」により、非薬剤師の業務が拡大し
- 在庫管理
- ピッキング業務
- 一包化の補助
が認められました。
薬の計量や錠剤の一包化は、今まで通り薬剤師が行わなければなりませんが、薬剤師の負担が大きく軽減されました。
処方せん枚数に応じて規定の人員を置く必要がありますが、調剤しかできない薬剤師は、もう必要なくなってしまいそうですね。
対物業務の機械化
技術の進歩により、薬の調剤やピッキングを行う機器が開発され、一部の薬局では導入も始まっています。
AIやロボットによる代替は、今後加速することが予想されます。
こうなると、今まで薬剤師しかできなかった業務が少なくなり、企業は薬剤師の確保に力を入れなくて良くなりますよね。
つまり「服薬指導や服薬フォロー、在宅業務を行えない薬剤師はいらない」ということになります。
国が求める技量や質に満たない薬剤師は、世間や企業からもいらないと思われてしまうかもしれません。
業種によっても将来の需要は変わる?

業種別にみるとまだ人員不足がある現状ですが、今後はどのように需要が変化するのでしょうか。
業種別に考えてみようと思います。
調剤薬局
2015年に厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」で「対物業務から対人業務へ」という方針が打ち出されました。
薬局で払うお薬代は「調剤技術料」「薬学管理料」「薬剤料」で構成されますが、「調剤技術料」は「調剤基本料」と「調剤料」に分けられます。
今後、国が決める調剤報酬は
- 「対物業務」にあたる「調剤料」の調剤報酬が下がり
- 「対人業務」にあたる「薬学管理料」の点数が引き上がる
ことが予想されます。
患者さんの服用状況の確認、薬学的管理、患者さんへの情報提供やフォローアップがしっかりできる薬剤師が求められています。
つまり「ただ薬を渡すだけ」「ただ調剤をするだけ」の薬剤師は、需要がなくなってしまうと考えられます。
今では誰でもネットで必要な情報が調べられますし、そんなことしか話せない薬剤師なら、薬だけもらって帰りたいと思ってしまいますよね。
医師や他職種に対しても同様に、会話の中から悩みを引き出し、知識をもとに話ができる薬剤師が必要とされています。
ドラッグストア
ドラッグストア業界は依然出店ペースが高く、大手によるM&Aも活発です。
コンビニのような規模の店舗から、ホームセンターのような大きな店舗まで規模も様々です。
日本チェーンドラッグストア協会が発表した「2020年度版業界推計ドラッグストア実態調査(速報版)」によると20年度の全国売上高が対前年比4.6%プラスの約8兆円!
2016年度から5年連続で4%以上の成長を続けていて、今後もスーパーやホームセンターのカテゴリーを取り入れながら出店も増えていくようです。
他の小売業と異なり、少子高齢化が進み、医薬品や介護用品の需要が増えているので、この分野の売り上げが非常に伸びています。
セルフメディケーション税制の延長・拡充も決まり、健康・介護の相談や生活習慣のアドバイスができる薬剤師の需要はとても高いです。
ドラッグストアは営業時間も長く、人員の確保も大変ですので、まだまだ求人も多いと思われます。
さらに、健康フェアの開催やセルフメディケーション推進の取り組みを企業や薬剤師が積極的にできるので、ますます需要が高まっていくと思います。
病院
2012年の調剤報酬改定で「病棟薬剤業務実施加算」が新設され、服薬指導など病棟業務が増え、薬剤師の需要が伸びています。
しかし、調剤薬局やドラッグストアなど他の業種に比べると年収が低く、慢性的な薬剤師不足です。
病院でしか扱わない薬も多いため、薬剤師としての知識は一番つくのですが、人気がイマイチなんですよね。
医師や看護師と連携して行うチーム医療への積極的な参加が求められ、高いコミニケーションスキルも身に付くので、自身のキャリアアップになります。
需要も高いので、年収や待遇は今後見直されていくかもしれません。
また、病院薬剤師の中でも専門的な知識を持つ薬剤師の需要は特に高まっています。
高齢化社会が進む中、様々な分野の認定制度が整備化され、がんや病気の緩和ケアなど専門的な知識を持つ薬剤師の必要性が上がっています。
製薬企業
医療費の増大とともに、ジェネリック医薬品の推進が国全体で進んでおり、新薬が出づらくなっています。
厚生労働省が発表した「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、製薬企業で働く人の数は4年間で約2,000人も減少しており、MRの将来性は非常に厳しいと言えます。
接待の禁止や販促品の配布の禁止など、薬の販促活動を行う上での制約が近年とても厳しくなりました。
さらに某製薬会社によるデータ改ざんや早期退職募集実施など、あまり明るいニュースがありません。
企業も生き残りをかけており、その中で生き残るためには他の業種よりもさらに努力が必要と言えます。
とにかく勉強して薬の知識を身につけるのは当然ですが、営業職ですのでビジネススキルやマネジメントスキルを持つ人の需要が高まりそうです。
これからのMRは、実力・スキルがある者が生き残り、結果を残せない者は不要とされる、非常にシビアな業種と言えます。
良い成績を上げているMRでも、成功や失敗を繰り返しながら信頼を得て成長したと思います。
誰もが努力次第で「デキるMR」になることも不可能ではありません。
諦めずにコツコツ努力して、成績を残すことできるMRは、今後も需要があると思います。
薬剤師が余る時代に備えてするべき事

薬剤師が過剰になる時代を迎えても、選ばれる薬剤師になるためにするべき事はズバリ!
- コミニュケーションスキルを上げる
- 高い専門性を持つ
- マネジメント能力を身につける
これらを念頭に置いて日々勉強し、経験を積むことだと思います。
薬剤師が不足している状況なら好条件の求人があるかもしれませんが、
これからは能力や知識がない薬剤師が好条件で転職できることはなくなると簡単に想像できますよね。
これからの薬剤師には、充分な薬の知識と経験、他職種と連携できることが求められます。
単なる作業員にならない、プラスαの価値が必要とされているのです。
これは病院薬剤師、薬局薬剤師に限ったことではなく、ドラッグストアで働く薬剤師やMRにも当てはまると思います。
より求められる薬剤師になっていくための具体的対策は、こちらの記事に詳しくまとめてみました。
薬剤師なんて不要?必要とされる薬剤師であるために必要なことは?
まとめ
現状、薬剤師の需要と供給はバランスが保たれているとみられます。
地域や業種によっては、まだまだ人員不足と言われるような場所もあるようです。
しかし、厚生労働省の推計では、2045年に最大で12.6万人(人口減など考慮して少なくても2.4万人)の薬剤師が過剰になってしまうと発表されました。
需要と供給のバランスが崩れる原因として
- 薬剤師の供給過多
- ピッキングなど薬剤師以外が出来る業務の拡大
- 対物業務の機械化
が考えられます。
供給が過剰になっても、選ばれる薬剤師になるためには
- コミニュケーションスキルを上げる
- 高い専門性を持つ
- マネジメント能力を身につける
これは、どの業種の今後の需要をみても、共通して言える事だと思います。
日々コツコツと努力を積み上げることで自分の価値を高め、「必要とされる薬剤師」として将来も生き残っていけるはずです!
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大きな薬価改定や「対物業務から対人業務へ」という方針の変化など、薬剤師の環境は大きな変化を強いられています。
その変化によって、適応できず勤務先が廃業してしまった、仕事が激務になったなどの話も聞いたりします。
かつては売り手市場と言われた薬剤師の転職も、その変化の影響を受けないわけがありません。
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