
医療費削減の問題や、AI技術の発展のニュースを聞いて
「このまま薬剤師を続けていても将来は大丈夫なのか」
「将来も必要とされる職業なのか」
と不安になりませんか?
誇りを持って続けている仕事を、不要だと言われると、なんだか悔しいですよね。
このまま何も考えずに資格に甘えていたら、世の中から必要とされなくなってしまうかもしれません。
薬剤師が、この先の将来も必要とされる職業であるために、どのような行動をすれば良いのか、考えてみましょう。
薬剤師不要論が出ている
「薬剤師は不要なのでは?」と言われ始めたのは、今に始まったことではありません。
2019年末、ある有名な方が薬局批判の呟きをしていました。
なぜ調剤薬局の青年がフェラーリを買えるのか? そのツケを支払うのは我われ患者である。|猪瀬直樹 @inosenaoki #note https://t.co/XK2RqD6lDL
— 猪瀬直樹/inosenaoki (@inosenaoki) December 25, 2019
薬剤師は儲けすぎ!
本当に必要なのか?
いらないんじゃないか?
ということを言っていて、同調する声もたくさん聞こえてきます。
まさに、薬剤師バッシング真っ只中。
なぜここまで議論が盛り上がっているのでしょうか?
薬剤師不要論が出た背景をみてみます。
医療費の増大が止まらない
現在、日本の医療費は約43兆円!
うち調剤薬局医療費が約8兆円ですが、医科・歯科診療や看護など他に比べてここ数年大幅に伸びています。
そもそも医薬分業は、医師が不必要な処方を止めるために国が推進した背景がありますが、
「薬剤師儲けすぎじゃないの?」といった声が大きいです。
薬局の薬剤師は、
- 費用に見合うだけの機能を果たしているのか?
- 医療費抑制のための仕事が出来ているのか?
という疑問を持たれているんです。
例えば、服薬指導のとき、薬の名前と飲み方しか説明しない薬剤師もいます。
どんな効果があって、副作用はどんな症状があるのか、何に気をつけたら良いのか説明するのは最低でもすべきですよね。
院内で薬をもらう方が安い
- 病院での診察と一緒に薬をもらえたら手間が減る
- 病院を出て、わざわざ薬局へいくのが面倒
という患者さんの声はよく耳にしますよね。
患者さんの利便性を考えると、院内処方の方が手間もお金もかかりません。
院内処方では、病院の採用薬によって使える薬が決まってしまいますが、
院外処方では医師が制約にしばられることなく最良の薬を選択する事ができます。
また、院外薬局では患者さんが複数の医療機関にかかっている場合、併用薬をまとめてチェックする一元管理ができるメリットがあります。
しかし実際には、複数の病院にかかっていたり、頻繁に薬局へ行く人でない限り、一元管理のメリットが伝わりにくいですよね。
日本全国の薬局の数は、なんとコンビニより多い
2019年末の(ドラッグストアを除く)薬局の数は60,171件、対してコンビニは57,966件
大きな病院の門前には、調剤薬局がズラリと並んでいる風景は、よく目にしますよね。
コンビニは毎日行くこともありますが、調剤薬局は処方箋がないとなかなか行く機会がありません。
薬局へあまり行かない人達にとって「果たしてこんなに薬局必要なの?」って思われているようです。
AI技術の進歩
囲碁や将棋で人間を打ち負かすほど成長したAI(人工知能)は、今後10年〜15年で様々な労働者の仕事にとって変わると言われています。
どんなにベテランの薬剤師でも、どんなに記憶力が凄い薬剤師でも、
処方箋の監査や薬の相互作用のチェックでは、データをもとに正確で素早い判断をするAIにはかなわないです。
「薬剤師の仕事なんて、AIで十分じゃん」と多くの人は思っているかもしれません。
それでも薬剤師が必要な理由

医療費が増大しても、AI技術が進歩しても、それでも薬剤師は必要なんです。
私が必要と断言する理由は4つあります。
対人業務は、AIよりも人間が勝る
膨大なデータにアクセスして最適な答えを導き出すAIですが、まだまだ人間とのコミュニケーションは苦手です。
AIは、プログラミングされた情報をもとに自己学習して成長していきますが、人間の感情や表情、健康状態まで検知することはできません。
具合が悪いとき、本人は「大丈夫」と言っていても浮かない表情だったり、辛そうにしているのをコンピューターは感じ取ることは出来ませんよね。
AIの苦手分野として「コミニュケーション」「共感・協調」「創造的な作業」が挙げられます。
これからの薬剤師に求められるものとして、かかりつけ機能や健康サポート機能、在宅業務があります。
どれも、患者さんや地域の方たちとの密なコミニュケーションが求められるため、薬剤師が力を発揮することが求められます。
高齢化が進むと、さらに薬剤師の力が必要になる
2025年には、日本の4人に1人が75歳以上の後期高齢者という、超高齢社会となります。
高齢者は色々な病気を抱える事が多く、健康管理が大きな問題となります。
高齢化が進むにつれ、慢性疾患に対する薬物療法はとても重要ですが、
「薬が多くて飲めない」
「どれをいつ飲めば良いか分からない」
などの理由で発生する「残薬」が大きな課題です。
日本薬剤師会の調査では、75歳以上の在宅患者だけでも475億円、日本全体で見れば数千億円規模で残薬があると言われています。
薬剤師は、単に医師の処方通りに調剤するのではなく、
患者さんが使っている市販薬やサプリメントの情報を把握して薬の管理をしたり、医師に処方薬の変更を提案する事が必要となります。
したがって、薬剤師は薬の専門家としての知識を生かし、情報提供や治療における薬の使用について重要な役割を担い、
他の医療従事者と連携して治療を行うことが求められています。
なぜ国が、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師の制度を勧めているのか、
なぜ対物業務から対人業務へとシフトさせているのか、わかりやすい例だと思います。
セルフメディケーション推進のための役割が期待される
「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」(WHOの定義)
というセルフメディケーションが推進されています。
国民一人ひとりが取り組むと医療費削減の効果が大きくなるので、国は税制の優遇などの政策をとっています。
さらに、薬物の濫用(らんよう)や副作用のリスクも心配されるので、
OTC医薬品の安全な使用を促し、不必要な受診を減らすために、薬剤師の役割が期待されています。
セルフメディケーションにおいては「予防医学」も重要視されています。
慢性疾患はライフスタイルの乱れが大きく原因となることから、食生活習慣の指導や運動・禁煙などの相談やアドバイスを薬剤師が行う事が求められています。
人間の体は少しずつ老化し、回復力も低下していきます。
病気にかからないよう知識をフルに活かして、病気を防ぐアドバイスができるのは、薬剤師だからできることですよね。
必要とされる薬剤師になるには

現状、薬剤師の有効求人倍率が減少傾向にあることからも、将来が保証されているとは言えません。
しかし薬剤師は、これからの医療に必要不可欠な存在にもなり得るのです。
生き残っていける薬剤師になるために、自身の価値を上げるには、何を頑張れば良いでしょう?
高いコミニュケーションスキルを持つ
在宅医療のニーズ増大や、かかりつけ薬剤師の取り組みが本格化し、患者さんのみならず医師・看護師など他の職種と円滑な連携を取る機会が増えます。
また、セルフメディケーション推進により、個人の悩みやニーズを正しく引き出すためにも、高いコミニュケーションスキルが必要となります。
コミニュケーションスキルを上げるためには、やはり場数を踏む事だと思います。
その時のポイントとなることは
- 相手の話をしっかり聞く「傾聴力」
- 相手に安心と信頼を与える「共感力」
- 薬剤師としての知識をもとにした「提案力」
の3つです。
これを注意して、たくさんの方と接する事で薬剤師に求められるコミニュケーションスキルが身につくと思います。
私は薬剤師になりたての頃、患者さんを不安にさせてはいけないと思い、少ない知識をフル活用して服薬指導をしてました。
もちろんいい加減な事は言ってはいけないので、わからない事はきちんと調べてから答えていましたけどね。
でも、そうする事でどんどん知識もつきました。
そして、患者さんから「学ぶ」つもりでしっかり話を聞く習慣をつけました。
そうすると、どんどん患者さんも話してくれますし、その話に共感することで信頼も得ることができます。
また、得られた知識や情報をもとに医師へ薬の提案や、飲み方の提案ができれば、必要とされる薬剤師にきっとなれると思います。
高い専門性を身につける
専門的な知識は、病院薬剤師だけでなく薬局薬剤師にも今後必要となります。
地域連携、かかりつけ薬剤師・薬局の機能強化において、がんや難病の患者さんの受け入れも今後さらに増えていく事が予想されます。
薬剤師の認定制度は、主に病院薬剤師に向けたものが多いです。
- がん専門薬剤師
- 感染制御認定薬剤師
- 医療薬学専門薬剤師
など他にもたくさんの認定制度がありますが、病院での臨床実習が必須のものもあり、病院で働く薬剤師だけが専門性を求められていると感じてしまいます。
しかし、幅広い分野で、高いレベルで薬物治療に貢献することがこれから必要とされ、薬局薬剤師にこそ専門性が必要と思います。
最近では薬局薬剤師でも取得できる
- プライマリ・ケア認定薬剤師
- 緩和薬物療法認定薬剤師
- 公認スポーツファーマシスト
などの資格もあります。
また、セルフメディケーションが推進され、保健機能食品やサプリメントの適切なアドバイスができる薬剤師も求められています。
サプリメントアドバイザーという資格は、薬剤師でなくても取得することができますが、薬剤師がこの知識を身につけることで、必ず役に立ちます。
決して簡単に取得できるものではありませんが、薬剤師として専門的な知識を身につけていくことは、今後必ず求められてきます。
まずは「興味のあるもの」から取り組んでみることが、良いのではないでしょうか。
マネジメント能力を高める
薬局全体を管理し、薬局の機能を最大限発揮するために、スタッフの教育や管理を行う能力は、企業にとってとても価値があります。
薬剤師が考えなければならないマネジメントは
- 人材マネジメント
- 業務マネジメント
- リスクマネジメント
の3つです。
人材マネジメント
薬剤師としての能力が全て価値の質に直結するため、いかに自分や部下を成長させるかが重要です。
目標を設定し、目標達成に向けて努力することで人は成長を実感します。
患者さんへの適切な服薬指導や、医師・看護師など他職種とスムーズな対応ができる薬剤師を育てることができたら、薬局全体の価値が上がると思います。
業務マネジメント
業務のムダ・ムリ・ムラを無くすために、誰が・いつまでに・どのように実行するのかを意識して、薬局を管理しなければなりません。
業務内容の整理・コスト管理・人材配置を適切に行うことが、効率を上げ、業績を上げます。
リスクマネジメント
医療現場は常にリスクと隣り合わせです。
業務の中で何かトラブルが発生した場合は、早い段階で対処し、小さな芽のうちに摘まなければなりません。
トラブルを防ぐために、リスクに対して日頃から意識して対策を心がけることが重要です。
マネジメントがうまく機能すれば、組織がうまく回り、業績が上がります。
そうなると自分も部下も幸せになります。
また、患者さんへ提供できる質も上がるので、患者さんも間違いなく幸せになります。
マネジメント能力が高い薬剤師は、企業にとっても地域にとってもとても価値が高く、将来性も高いと言えます。
まとめ
薬剤師は不要ではないかと言う声が上がった背景には
- 医療費の増大
- 院内で薬をもらう方が安い
- 薬局数の過多
- AI技術の発展
と言うことが理由となっています。
しかし、それでも薬剤師が必要な理由として
- 対人業務はAIよりも人間が勝る
- 高齢化が進むと、さらに薬剤師の力が必要になる
- セルフメディケーション推進
と言うことが挙げられます。
そして、これからも必要とされる薬剤師になるために
- 高いコミニュケーション能力を持つ
- 高い専門性を身につける
- マネジメント能力を高める
事が必要だと思います。
不要だなんて言われないよう、これからも必要とされる薬剤師になるために、
求められている薬剤師の職責を果たし、薬局としての機能を発揮して
世の中の役に立っていきましょう。
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大きな薬価改定や「対物業務から対人業務へ」という方針の変化など、薬剤師の環境は大きな変化を強いられています。
その変化によって、適応できず勤務先が廃業してしまった、仕事が激務になったなどの話も聞いたりします。
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