
“薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、
公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする”
薬剤師法の第一条です。
医薬分業の推進や薬物治療の高度化、医療問題によって、薬剤師の役割も、高度になりつつあります。
服薬指導での病状確認などは医療人として、TDMの実践などは薬学の専門家として、薬剤師の高度な役割です。
医療の進展や医療問題への取り組みの中で、薬剤師の役割はどう変わるのだろう?と考えていませんか?
以下では、令和の薬剤師の役割と可能性について考えていきます。
薬剤師としての新たな在り方がみつかるかもしれません。
薬剤師の役割の移り変わり

薬剤師の起源は、欧米の”医師がくすりに毒を盛っていないか確認する仕事”と言われております。
これが転じて、”医師による適正な薬物治療のサポート”になりました。
かつての日本では、医薬同一と言って、医者がくすりの管理も担っていました。
医者の古称が”薬師(くすし)”であることからも、医薬同一の根深さがわかります。
日本に、薬剤師という職業ができたのは明治時代に入ってからです。
しかし、日本で薬物治療を実施するのは医師であり、薬剤師の仕事の中心は調剤という時代が続きました。
当時の薬剤師に求められていたことは、”いかに早く正確に調剤するか”でした。
「俺なら、〇分あれば調剤できるわ」
という現在では考えられないような、マウント合戦もあったようです。
その時代の薬剤師は、”くすりを用意し、患者に渡す人”のイメージで、医療人にカウントされなかったそうです。
医療人としての薬剤師の役割が強調されてきたのは、実はここ最近20-30年ほどのことです。
医療人としての薬剤師
「薬剤師として医療にかかわりたい!」
と考える受験生が、今となってはかなり増えました。
かつての薬学教育は、たとえ薬剤師コースの学生であっても、学習内容は創薬科学が中心でした。
医療現場における実習もせいぜい2-3週間程度で、その内容も調剤業務が主でした。
薬剤師が医療の担い手として、公に明記されたのは1994年です。
近年は、医薬分業が強く推進され、”薬剤師の医療人としての役割”も見直されてきています。
医薬分業の推進に伴って、薬剤師コースが6年制になり、学習内容が医療中心のものになりました。
薬剤師の仕事は、対患者・対医療人のコミュニケーションに重きが置かれるようになりました。
一方で調剤業務は少しずつ薬剤師の手元を離れつつあります。
かかりつけ薬局・薬剤師

日本人口の高齢化に伴って、複数の疾患をもち、それぞれの専門の医療機関にかかる患者さんが増えています(ポリドクター問題)。
それぞれの医療機関で処方箋をもらうと、どうしてもくすりの数が増え、飲み合わせなどの問題が出てきます(ポリファーマシー問題)。
これらの問題の解決策の1つとして期待されているのがかかりつけ薬局・薬剤師です。
複数の医療機関の処方を1つの薬局・1人の薬剤師の下で管理しようということです。
複数の医療機関による薬物治療をかかりつけ薬局で、統合・最適化するのです。
飲み合わせの管理はもちろん、患者さんの体の機能に合わせた投薬もしやすくなります。
例えば、腎・泌尿器科に通院中の患者さんが、それとは別の医療機関で、とあるくすりをもらったとします。
そのくすりが腎機能低下の患者さんで減量が必要なくすりであったら、かかりつけ薬局で見つけることができます。
こうした一元的管理は、複数の門前薬局では難しくなります。
地域に根差した、薬物治療の拠点が求められているのですね。
在宅業務

近年、病床数・QOLの観点から、在宅医療に関心が寄せられています。
薬剤師による在宅業務も増えてきています。
在宅業務では、服薬アドヒアランスの確認や残薬の管理、副作用のモニタリング、病状の確認などをします。
特に最近では、薬剤師による在宅時の、フィジカルアセスメントに関心が寄せられています。
簡単にで良いので、身体所見を確認すれば、医療への貢献が深まりますね。
ドラッグストア

近年はOTCやセルフメディケーションを推進しようとする動きがあります(税金免除など)。
ここで大きな役割を果たすのがドラッグストアの薬剤師です。
ドラッグストアは、医療機関や薬局と異なり、スーパーやコンビニと同じくらい身近なお店です。
すなわち、ドラッグストアの薬剤師は一番気軽に会いに行ける医療人なのです。
ドラッグストアの中には、薬剤師への健康相談の窓口を設置しているところもあります。
医師や看護師は、どうしても病気になる前では、会いに行くのが難しいです。
OTC薬剤師の私の友人は、ドラッグストアで、
「医師の先生は言ってないんですけど、このくすりを飲むのが嫌で……」
と、大事な相談をされたことがあると言っていました。
また、いわゆる“未病”に関われる医療人として、ドラッグストアの薬剤師には期待が高まっています。
予防医療のなかで、ドラッグストアの薬剤師が中心的な役割を持てるかもしれませんね。
高い専門性

近年の医学薬学の発展は著しく、どんどん新しい薬剤が開発されています。
医師であっても、薬理学や薬物動態学についての理解は薬剤師ほど深くない場合が多いのです。
このため、正しい知識に基づいたサポートができる薬剤師の需要が高まっています。
薬剤師に求められる知識量も年々増え続け、医療の現場において、薬剤師が知識を発揮できる場面も増えています。
例えば、TDMは薬物動態学を身に付けた薬剤師にしかできません。
また、HER2が左心室にも発現していることを知っていれば、ハーセプチン®の左心不全の副作用も予見できます。
学び続ける意志は、これまで以上に必要になるでしょう。
これからの薬剤師に求められる役割

私の知り合いに、薬剤師免許を持つ医師がいます。
その医師曰く、
「私の中には医師だけでなく、薬剤師の知識や技術もある。
だからこそ、薬剤師が聴診や触診をするのを、越権行為だとは思わない。
私と一緒に仕事をする薬剤師にはできることを何でもやってほしいと思う。
それに、できることからやってくれないと、薬剤師の権限の向上にはつながらない。」
とのことでした。
近年は、薬剤師の仕事の幅を広げようとする動きがあります。
しかし、現場の薬剤師の仕事はどうでしょうか?
フィジカルアセスメントなどはやっても問題ない行為ですが、実践している薬剤師はまだまだ少数派です。
あなたが医療人としての薬剤師にできることを増やしたいと願うのなら、ぜひ学び、実践してください。
一緒に、権限を向上するための実績を積み上げましょう。
フィジカルアセスメントによって病状を正しく評価できれば、リフィル処方箋や診察の権限が与えられるかもしれません。
OTCを正しくオススメすることができれば、処方の権利を一部任せてもらえるかもしれません。
医療行為はNG!薬剤師が患者さんにしてあげられることは何か?
まとめ
ここ20-30年ほどで薬剤師の役割は大きく変化しました。
近年では、医療人としての役割も見直されており、幅広い医療貢献が期待されています。
さらなる、役割の拡大には、薬剤師一人一人が、医療貢献の実績を積み上げることが必要です。
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